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あい、見えます。
第1章 見つめ合って

「……!」
声をかけようと口を開いた彼のビニール袋の中で、携帯が着信を告げる音楽を奏で始める。
その音にはっとして、互いに目を見開いた。
目が合った気がしたが、彼女は顔を反らすと、自分の部屋のドアノブに手をかけていた。
彼女の部屋のドアは、まだ施錠されたままのはずだ。
「家に、入らないんですか?」
ガサガサと音を立てながら、袋から取り出したスマートフォンを見るも、着信を無視して話しかけた佐々木に、彼女は決まり悪そうな顔のまま、曖昧に頭を下げた。
「……人がいると、家に入りにくくて」
「あぁ、すみません」
いえ、と小さく返事をする彼女に、佐々木は再び頭を下げてから、自宅の玄関ドアを開けた。
家に入り際、ちらりと彼女の顔色を伺った。
やはり、どこか暗い表情に見えた。
長い睫毛を微かに伏せて、口端にキュッと力を込めた顔つきに後ろ髪はひかれたが、単なる隣人が無遠慮に踏み込むのも品が無いものかと思い直し、彼は無言のまま自宅に入ると、携帯を操作しながらリビングへ向かった。
声をかけようと口を開いた彼のビニール袋の中で、携帯が着信を告げる音楽を奏で始める。
その音にはっとして、互いに目を見開いた。
目が合った気がしたが、彼女は顔を反らすと、自分の部屋のドアノブに手をかけていた。
彼女の部屋のドアは、まだ施錠されたままのはずだ。
「家に、入らないんですか?」
ガサガサと音を立てながら、袋から取り出したスマートフォンを見るも、着信を無視して話しかけた佐々木に、彼女は決まり悪そうな顔のまま、曖昧に頭を下げた。
「……人がいると、家に入りにくくて」
「あぁ、すみません」
いえ、と小さく返事をする彼女に、佐々木は再び頭を下げてから、自宅の玄関ドアを開けた。
家に入り際、ちらりと彼女の顔色を伺った。
やはり、どこか暗い表情に見えた。
長い睫毛を微かに伏せて、口端にキュッと力を込めた顔つきに後ろ髪はひかれたが、単なる隣人が無遠慮に踏み込むのも品が無いものかと思い直し、彼は無言のまま自宅に入ると、携帯を操作しながらリビングへ向かった。

