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あい、見えます。
第8章 見せて、触れて
■見せて、触れて
泊まっていきますか、と尋ねた佐々木にも驚いたが、頷く自分にも、遥は驚いていた。
それは恐らく、尋ねた当の佐々木本人も同じに違いなかったけれど、何故か、もう少し、彼と一緒にいたいと思った。
その割に、女らしさの欠けた格好だったことに気付いて頭を下げると、佐々木は何故か声を上げて笑った。
―――デニム姿も、似合ってますよ。それに、私も、褒められた格好じゃない。
首を傾げる遥に「いいから気にしないで」と笑う佐々木は、それでも、やはり紳士的な男に変わりはなかった。
寝間着に着替えて来ようか迷った遥に、Tシャツとジャージを貸してくれた彼は、寝室で着替えるようにと告げると、扉を締めてリビングで洗い物を済ませていた。
水音と食器を重ねる音が、彼が決して、覗いたりしていないことを、遥の聴覚に示した。
ジャージの裾は、大分余ってしまったけれど、裾を折り曲げてベッドに腰掛けていれば、ノックをした後に、佐々木の声がドア越しに聞こえた。
「入っても、大丈夫ですか?」
「はい」
答えると、扉を開ける音がした。
途端、不意に緊張して、遥は身を堅くする。
本当に突然だった。
ただ、話を続けたいと思っただけなのに、寝室にいることを思い出したら、何か急に怖くなってしまったのだ。