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あい、見えます。
第8章 見せて、触れて

初めて自分から触れた佐々木の指は、大きくて温かく、少しごつごつしていた。

「……ッ」

はっとして離しかけた手を、長い指に追いかけられて、囚われる。

反射的に身体が強張った。

ベッドが揺れる。

振動とミントの香り。

佐々木が自分の方へ身体を向けたのに気付き、無意識に壁の方へ身体をずらしかける。



「逃げないで」



低い声に、酷く穏やかに懇願されて、胸の奥が強く痛くなった。



佐々木の握る指には、決して力は込められていない。

遥が嫌がれば、すぐに引き抜けるほど、優しく触れている。

それが分かっているのに、包まれた指先を引き抜くことが出来ず、呼吸が止まってしまうかと思った。



吐息一つ零しただけで、何かが壊れてしまいそうな緊張感に、指が震える。



今、彼は、どんな顔で自分を見ているのか。

知りたくて、知れなくて。

見えないことが苦しすぎて―――。



「唇を、噛まないで。傷になってしまう」



知らぬ間に噛み締めていた唇に、何かが触れた。

そのまま、温かく柔らかなそれに、自分の唇を撫でられる。

あやすように触れてから、静かに去っていく感覚に、身体中が心臓になってしまう。



(指、だ……)



唇に触れていたものに気づいた時、遥は無意識のまま、握られた指で、佐々木の手を握り返していた。



「!」



自覚した瞬間、ビクッとして、今度こそ引き抜いた右手を、自分の胸の前に引き寄せ、握りしめる。

火傷でもしたように、左手で右手を庇いながら、壁に背中をつけて、勝手に乱れかけた呼吸を、何とか整えた。

その指が、ふと自分の唇に触れた。

佐々木が触れたように、唇を指の先で撫でると、身体の奥がトクンと脈打つ。

薄っすら開いた唇から漏れた吐息が、人差し指を擽った時、佐々木の声も、遥の鼓膜をくすぐった。



「本当に、困りました」



「……え」



聞き返す遥の隣で、ベッドが微かに軋んだ。



「貴方に、触れたい」



吐息混じりに告げられて、遥の目がふっと見開かれた。



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