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あい、見えます。
第1章 見つめ合って


  *  *  *


古い映画のDVDを何となくテレビで流しつつ、佐々木は久しぶりに家での晩酌を楽しんでいた。
若い時から酒は強い方だが、好んで酒を飲むタイプでは無い。
それを証明するように、棚から引っ張りだしたマッカランは、3ヶ月前に開けたものだった。
やや風味が落ちていて、店では出せない代物だ。
自宅で適当に飲むからこそ、"酔えれば構わない"というポリシーを掲げて、グラスに注いで手の中で遊ばせていられる。
バーテンダーらしからぬ嗜み方かもしれないが、佐々木はそれで構わないと思っていた。
もともと自分は、酒について深いこだわりがある方ではない。



佐々木が本格的にバーテンダーの道に進んだのは30間際の頃だ。
酒好きでバーテンダーの道を志したわけでもなく、接客が楽しくてバーテンダーになったわけでも無い。
ただ、若い時にバーテンダーの仕事をかじっていたこともあってか、物好きで世話焼きな店長に、偶然拾われた、というのが正しい。

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