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あい、見えます。
第8章 見せて、触れて
貸してもらったTシャツを脱がされて、ジャージも足から引きぬかれて。
そうして生まれたままの姿になり、仰向けに横たわる自分の身体を跨ぐように、
佐々木が太腿の辺りに膝立ちになったのを、シーツの動きで感じ取る。
見られているのか、見えているのか。
見えているなら、自分は、どんな顔をしているのか。
彼に、どんな風に見えているのか。
不安で自然と胸元を庇う身体に、佐々木の柔らかい声が降り落ちる。
「緊張、してますか?」
穏やかな声を聞くと、不思議と呼吸が楽になる。
胸を叩く心臓の音が、少しだけ和らぐ気がする。
目を閉じて、乱れかけた鼓動を落ち着けながら、小さく頷いた。
「……」
吐息が、聞こえた。
直後、「右手を」という声と共に、右の手首を包まれて、持ち上げられる。
佐々木の左手は、決して性急さを感じさせない流れで、遥の右掌を導くと、彼の胸元に押し当てさせた。
「……ぁ」
いつの間にか、佐々木の上半身は裸だった。
驚く遥の指先は、だが、もう一つの驚きも彼女に伝えてくる。
(早い…)
佐々木の鼓動が、トクントクンと少し早いスピードで脈打っている。
身体が、ふわりと熱くなった。
顔が赤くなったのかもしれない。
佐々木が息だけで笑ったから、そう思った。
「私も、緊張してます」
だから安心して、と告げられて、答えを絡めとられるように、再び唇を塞がれる。