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あい、見えます。
第8章 見せて、触れて


どうしていいか分からず、佐々木の胸に当てたままの右手が、まだ掌からトクトクと温かい鼓動を伝えてくる。


重なった唇を確かめるように、濡れた舌先で上唇を舐められて、指がピクッと震えた。


驚いて開きかけた口元に、そのまま優しく入り込んだ佐々木の舌は、遥の舌先を誘うように何度も淡く絡んでは小さな水音を立てる。


「ん……」


擽ったくて心地よすぎるファーストキスに、身体が痺れて胸が高鳴った。


右手を、おずおずと佐々木の背中に回す。


呼吸を忘れかけて鼻を鳴らすと、唇は一瞬だけ離れてから、再び降り落ちた。


自分からも唇を開いたら、左の頬に、温かい掌を感じた。


大きな掌だと思った時には、その手が顎のラインを辿り、そっと顎を持ち上げられた。


「……ん」


抗うことなく素直に喉を反らす唇に、佐々木の舌が少し深く入り込む。


口腔を確かめるように探られて、舌を擦り合わせるように動く、そのキスの甘さと深さに、お腹の辺りがジン…とした。



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