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あい、見えます。
第9章 あい、見えます。


「ぁ……、アッ、……んっ…」


太腿が触れ合って、そのまま開かれた脚の間に、佐々木の体温を感じた。


自分に伸し掛かりながら覆いかぶさる彼の身体は、深く密着したまま動かない。


それでも、自分の中に初めて感じる男の熱は、ドクンドクンと動いている気がした。


「……遥さん」


汗で張り付いてしまったらしい髪を指で避けられて、そのまま、頬を指の背で撫でられる。


腰は熱くて痺れて、痛いのか気持ちいいのかも分からない。


ただ、ジンジンとして疼いて仕方なかった。


これは、佐々木の熱が脈打っているせいなのだろうか。


意識を攫われそうになって、頬に触れた唇に、遥が小さく息を飲んだ。


直後、佐々木も息を飲んだ気配が伝わる。


驚いた隙に、また反対の頬にもキスをされて、耳朶にも唇を感じた。


「遥さん、愛しています……」


「……ぁ」


何かが溢れそうだと思った時には、顔を上げた佐々木の唇が、自分の唇に触れていた。


先程の嵐のようなキスとは違い、羽毛のように優しく降り落ち、触れては離れるキスに、身体中が甘く蕩けていく。


「辛くは、無いですか…?」


「……、はい」


「良かった……」


身体を重ねて、熱い場所をつなげたまま、静かに語る佐々木に、遥の心も穏やかに綻んだ。


汗ばんで、しっとりした皮膚は密着したまま熱を持っているのに、心は和らいだ。


呼吸の合間に、キスをする。


何度も啄んで、時々、鼻がぶつかって笑ったりしながら、唇を重ねた。


その間も、自分の中で鼓動する佐々木の熱に、徐々に、遥の腰も痛みだけでは無い熱を訴え始める。


時折、佐々木の手が、胸元の突起を悪戯にあやす度に、身体の中に波が生まれたように、甘い感覚が押し寄せては引いていく。


その波は、徐々に強く濃厚になっていく気がする。








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