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テンプテーション【完結】
第3章 囲い込まれる野良猫
 貴博さんはおかしそうにくすくすと笑った。
「ほんと、真白は鈍いなぁ。食事に誘っても断られたって話は流れてないの?」
「……そういえば」
 そう、そうなのだ。付き合うのが無理ならば、せめて食事でもと誘っても断られたって話を聞いたのも一度や二度どころではない。
「俺なりのアピールだったんだけど、初心者の真白には難しすぎたか」
「経緯が経緯だから、なんとなく惰性で続けているのかと思っていましたよ!」
「惰性では続けられないし、そもそも下心があって、森山さんと二人で行こうとしていた打ち上げに混ざったんだぞ」
「下心……」
「真白に俺のことを知ってほしかったからな」
 なにその地味なアピール。とはいえ、五年もの月日をかけて、じわじわと手なずけられてしまった訳ですが。
「そういえば、森山さんが食事会に来なくなった理由の一つに、俺と食事に行っているのを知られたからってのもあるみたいだぞ」
「そう……だったの?」
「俺はそういう面倒な噂が嫌いだから、言い方は悪いけれど隠していたからね」
 私は隠していたというよりは、仕事とプライベートは別物だと思っていたし、取り立てて言うことでもないと思っていたので言っていなかっただけだ。
「さゆみちゃんもそういうのを言って回るような人じゃないけどなぁ」
「まだ三人で食事会をしていたとき、真白が残業で遅れた時があっただろう?」
 そう言われて思い出した。食事会当日にいきなり急ぎといって割り込んできた仕事があったのだ。それもやっぱり中本課長が原因だった。
「間が悪くというか、俺と森山さんが一緒に店に入るのを見ていたヤツがいたみたいで、森山さんは呼び出されて色々言われたようだ」
「えー、なにそれ」
「あれは俺の不注意で森山さんに不快な思いをさせてしまった」
 そう言われて、一つの出来事を思い出した。
「……そういえば、さゆみちゃんのことを聞きに来た人がいました」
「なんて?」
 さゆみちゃんのことを何人かの人が聞きに来たのだけど、全員が示し合わせたかのように同じ質問をしてきたのだ。
「森山さゆみは何者なのかって」
「……なんだそれ」
「私も最初、聞かれたときに意味が分からなくて聞き返したけど、なんでもいいから知っていることを教えろって言われまして」
「それは、男性から? 女性から?」
「女性からですよ」
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