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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
     *

 仕事が始まってしまえば、ちょっとだけピンク色に染まりかけていた思考はあっという間にどこかに追いやられていた。
 というのも出勤するなり中本課長に呼ばれたからだ。昨日の書類でなんかやらかしちゃった?
「東泉さん、昨日の書類なんだが」
「はい」
「必要なくなったんだ」
 そう言われて、フリーズすること三秒。
 むらむらと怒りがこみ上げてきたけれど、拳を握りしめてぐっと我慢した。
 腹の中は煮えくり返っていたけれど、こんなもので怒っていたらこの人と一緒に仕事をしていけない。
 急ぎの割にはよくできた書類だったのに、という気持ちを込めて、中本課長ににっこりと笑顔で返しておいた。
「それは残念です」
 月野木さんではないけれど、この人の計画性のなさは異常すぎる。だけど課長になれたのはきっと、周りの人たちに恵まれていたからだろう。歴代の部下たちの苦労を知ると、泣けてくる。
 そんな私の腹の中なんてお構いなく、中本課長は追い打ちを掛けてきた。
「それで、古町産業さんへ提出する資料は?」
「すみません、まだ出来てないです」
「つっかえねーなあ」
 おーい、怒っていいですか?
 あんたが昨日、その要らなくなった書類をなにがなんでも急いで作れって言ったから遅れてるんじゃん! 私、引き受けるときに古町さんのも急ぎですけどって言ったわよ? 別の人にお願いできないのって言ったわよ。そしたらそんなの後でいいって言ったのはあんたじゃん! ……という言葉もぐいっとのみこんで、頭を下げた。
「すみません、お昼までには作りますから」
「んー、朝一でチェックしたかったんだよねぇ」
 それ、昨日のうちに言っておいてくださいよぉ。仕事を引き受けたときに今日のお昼までにできてたらいいって言ったくせにー。今度からこういう差し込み仕事が入ってきたらその都度、確認しなくてはならないってことね。
「まー、いいや。待ってる間は暇だから、他の部署に行ってリサーチしてくるわ」
 そう言って中本課長は部屋から出ていった。
 暇ってなによ。机の上には書類が山積みじゃない。そんなだから周りが迷惑するんじゃん! ……といえない悲しさよ。
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