この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
テンプテーション【完結】
第4章 周辺がにぎやかすぎて困ります!
 具体的な話はしなかったけれど、あれがきっかけで貴博さんは悩みを解消できたようだ。
「先輩から話は聞いていたんだ。産業医だけというのは茨の道だぞ、と」
「茨の道……? それって大変ってことですか?」
 と問うと、貴博さんはおもむろにうなずいた。
 産業医ってのは、仕事や人間関係、生活と多岐に渡る相談を受けたり、職場を訪問してチェックしたりと確かに大変そうだ。重たい相談なんて受けたりしたら、私だったら逃げてるかもしれない。
「仕事内容はとても面白いんだ。仕事が辛いんじゃなくて、俺はきちんと対応できているのか、これで良かったのかという葛藤が常にあったんだ」
 それはよく分かる。私も本当にあれで良かったのかなと悩むことが多いから。だけど周りの人に相談できる環境だから、精神的にはそこまで辛くない。
「圧倒的に経験不足だってことに気がついて。それに、臨床から離れていることにも不安を覚えて、週に二日、今は手伝いだけど現場に立たせてもらっている」
「それで産業医は週に三日?」
「そう」
 そんな葛藤を抱えていたなんて知らなかった。
 私の悩みなんてほんと、些細なことだ。薄い水色って指定したけど、薄い桃色の方が良かったんじゃないかとか、もう一ミリ、ずらした方がいいんじゃないかだとか。
 そう考えると、ずいぶんと気楽なものだなと思う。
「今、調整中なんだが、何社か掛け持ちで産業医として働かせてもらおうかと思っている」
「そんなこと、できるんですか」
「できるよ」
「へぇぇぇ、知らなかったー」
 え、てことは。
「貴博さん以外の人も兼任だったりするんですか?」
「確か、一人が専任でもう一人が掛け持ちしているとは聞いたな」
 貴博さんを知らなかったら、産業医という職業を知らないくらいだから、彼らがどういう制度の上でどう働いているのかという詳しいことを私は知らなかった。
「専任と兼任と産業医を三人も雇ってる会社なんてそうそうないみたいだぞ」
「えっ、そーなんですかっ」
/210ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ