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テンプテーション【完結】
第4章 周辺がにぎやかすぎて困ります!
 身近な例が学校しかないんだけど、養護教諭って一人しかいなかったと思うから、言われてみれば珍しいのかもしれない。
「すべての業種で常時、従業員が五十人以上の労働者を使用する事業場で一人以上を選任しなければならない」
 ほー、そんな決まりがあったんだ。
「常時三千人以上だと二人以上を選任する……とまあ、いろいろ決まりはあるんだよな」
「知りませんでした」
「だよな」
 今の会社は新卒で就職したから他の会社は知らないけれど、先輩が福利厚生は手厚いわよと言っていた意味がようやく分かった。
「半年に一度、全従業員に対してメンタルヘルスケアをしているのもなかなかの試みだと思うよ」
「ですよねー」
 しかもそれが部長面談とは別にってのもすごい。
「小さい会社だと月一とかでいいってところもあるみたいだから、そういうところを利用していろんな職場を見せてもらいながら経験を増やしたいと思ってるんだ」
 仕事に対しての前向きな姿勢に、貴博さんが眩しく見えた。
 そういう私はなんとなく惰性で仕事をしているような気もしないでもない。でも、だからといって変えていく勇気はない。

 貴博さんの部屋に着き、パジャマに着替えようと服を脱ごうとしたら、すでにスウェット姿になった貴博さんが後ろから迫ってきたかと思うと、抱きつかれて服を剥かれた。なに、この手際の良さ。
「貴博さんっ、もうしないって!」
「しないよ。真白の身体にオイル塗ろうと思って」
 そう言えば、そんなことを言っていた。
「真白のストリップショーでもいいけど、脱がしたい」
「ストリップって……」
 もうっ、どうしてオヤジな発言をするのよ、この人はっ!
「そんなこと言うなんて、イケメンが台無しですよ」
「……嫌いになった?」
 後ろから器用に私のブラウスのボタンを外していた貴博さんは、しょんぼりとした声で耳元で囁いた。ちょっとそれ、反則です! しかも、耳を食む食むと甘噛みしはじめているんだけど、なにこの甘えっ子大型犬!
「ちょ……、と、たかひ……ろ、さん?」
「はぁぁぁ、真白だぁ」
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