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テンプテーション【完結】
第4章 周辺がにぎやかすぎて困ります!
*
和田部長の配慮のおかげで、私が貴博さんと結婚したことはとりあえず、発表されなかった。
そのことにほっとしたけれど、引っ越したら住所変更と結婚したという届けは出さなければならない。そうなると総務から話が流れるけれど、それは仕方がない。
今回のこれは延命処置でしかないけれど、それでも私に少しの心の準備期間が与えられたことになる。
もう少ししたら年度末に向けての繁忙期に入ってしまう。そうなれば周りも私に構っていられなくなるだろう。そのタイミングで提出してしまえばうやむやになりそうだ。
と考えながら仕事をしていると、あっという間にお昼になった。
朝、買って来たお昼ご飯を片手に、さゆみちゃんと待ち合わせをしている休憩スペースへと行った。
中を覗くと、すでにさゆみちゃんが来ていた。
「さゆみちゃ……ん?」
「ああ、真白くん」
長かった髪がすっかり短くなっていたのも驚きだったんだけど、気のせいかその……なんでそんなにゆったりした服を着ているのですか?
「別に取って食ったりしないから、こちらに来たまえ」
「あ……うん」
口調はいつものさゆみちゃんなんだけど、気のせいか、妙に色っぽいというか。なんですか、これは。
「ちょっと身体が怠いから座らせてもらってもいいかな」
「はい、どうぞ……」
さゆみちゃんが椅子に座ったのを確認して、私もすぐに中に入ってさゆみちゃんの隣に座った。
「久しぶりだね」
「そういえば、そうだな。五月末に会ったきりだ」
私とさゆみちゃんは部署もフロアも違う。仕事でもまったく絡みがないから、意識しないとこうして長い間、直接、顔を合わせることが少ない。
「あの……中本課長と結婚したって聞いたんだけど」
「そうなんだ」
「そうなんだって……どうしてそんな、他人事なの」
相変わらずだけど、淡々とした声に戸惑いを覚えた。
「あの人がそうしたいというのなら、別にあたしは構わないよ」
「え? どういう……?」
和田部長の配慮のおかげで、私が貴博さんと結婚したことはとりあえず、発表されなかった。
そのことにほっとしたけれど、引っ越したら住所変更と結婚したという届けは出さなければならない。そうなると総務から話が流れるけれど、それは仕方がない。
今回のこれは延命処置でしかないけれど、それでも私に少しの心の準備期間が与えられたことになる。
もう少ししたら年度末に向けての繁忙期に入ってしまう。そうなれば周りも私に構っていられなくなるだろう。そのタイミングで提出してしまえばうやむやになりそうだ。
と考えながら仕事をしていると、あっという間にお昼になった。
朝、買って来たお昼ご飯を片手に、さゆみちゃんと待ち合わせをしている休憩スペースへと行った。
中を覗くと、すでにさゆみちゃんが来ていた。
「さゆみちゃ……ん?」
「ああ、真白くん」
長かった髪がすっかり短くなっていたのも驚きだったんだけど、気のせいかその……なんでそんなにゆったりした服を着ているのですか?
「別に取って食ったりしないから、こちらに来たまえ」
「あ……うん」
口調はいつものさゆみちゃんなんだけど、気のせいか、妙に色っぽいというか。なんですか、これは。
「ちょっと身体が怠いから座らせてもらってもいいかな」
「はい、どうぞ……」
さゆみちゃんが椅子に座ったのを確認して、私もすぐに中に入ってさゆみちゃんの隣に座った。
「久しぶりだね」
「そういえば、そうだな。五月末に会ったきりだ」
私とさゆみちゃんは部署もフロアも違う。仕事でもまったく絡みがないから、意識しないとこうして長い間、直接、顔を合わせることが少ない。
「あの……中本課長と結婚したって聞いたんだけど」
「そうなんだ」
「そうなんだって……どうしてそんな、他人事なの」
相変わらずだけど、淡々とした声に戸惑いを覚えた。
「あの人がそうしたいというのなら、別にあたしは構わないよ」
「え? どういう……?」