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テンプテーション【完結】
第4章 周辺がにぎやかすぎて困ります!
     *

 話の経過がよく分からなくて、私は確認のためにさゆみちゃんに質問をした。
「合コンがあったのは?」
「水曜日。真白くんと月野木くんに彼氏ができたという報告をしたのは木曜日」
 食事会当日に確かにさゆみちゃんからメッセージが届いていた。
「木曜日にあたしの体調を気遣うメッセージとデートのお誘いが入った。それでどうやらあたしに彼氏ができたらしいと知ったんだ」
 なにこの流され体質。
「土曜日に駅前で彼氏らしい男と中本課長が鉢合わせになって、修羅場だ」
「……あの、さゆみちゃん」
「なんだ」
「さゆみちゃんは中本課長のことをどう思っているの?」
 今まで話を聞いてきて、さゆみちゃんの中本課長に対する気持ちがまったく見えてこなくて、思わず質問していた。
「どうとは?」
 まさかの質問返しに、言葉に詰まった。
「好きなの、嫌いなの?」
「……さあ?」
「どうしてそこで『さあ』っていう答えを返してくるの……」
「分からないんだよ。最初が最初だったし、無理矢理だったし、嫌だったけれど、身体は悦んでいた」
 さゆみちゃんのストレートな感想に経験値の低い私はどう返せばいいのかまったく分からない。
「社内でするセックスは気持ちが良かったし、家に呼ばれてやっても気持ちが良かったし、とにかく、顔を合わせたら必ず繋がっていたから、感情はよく分からない」
 中本課長……間接的にセクハラです! と心の中で勝手に罵りつつ、さゆみちゃんの話を聞く。
「ここのところ呼ばれる回数も減ったし、そろそろ飽きてきたのかなと思っていたんだ。社内ではともかく、家でやるときはコンドームを付けてくれなかったし、彼はあたしのことを大切にしてくれていない、セフレでしかないんだと思っていた」
 これはなんというか、色々とひどい。
 さゆみちゃんもマイペースだけど、中本課長も大概ひどい。
「そんなときにあたしの体調を気遣ってくれて、しかも好きだってきちんと告白して、付き合ってって言われたら、流されても仕方がないだろう?」
「……まあ、そ……う、なのかもしれないけど」
「駅前で修羅場になって、あたしはつわりで戻すし、ひどいことになった」
 想像したくない、そんなド修羅場。
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