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テンプテーション【完結】
第5章 幸せの誘惑(完)
     *

 蔵で貴博さんの昔の写真を堪能した後、母屋へ移動して、お兄さん夫婦にご挨拶をした。
 お兄さん二人もこれまたイケメンで、三人が並んでいるところはなかなかの圧巻だった。そして、二人のそれぞれの奥さんも綺麗な人で、なんというか、美男美女カップル二組はきらきらして、まぶしかった。
 そして、子どもは二人ずついて、かなりにぎやかだった。
 もう少し話をしたかったのだけど、生まれて半年だという子がぐずりだしたので解散となった。

 それほどゆっくりしていたつもりはなかったのだけど、外に出るとすっかり日が暮れていた。
「面倒だから、食べて帰るか」
「そうですね。夕飯には少し早い時間だから、駅前の定食屋さん、すぐに入れそうですよ」
 ということで、お気に入りでひいきにしている定食屋さんにやってきた。読み通り、そこそこお客さんが入っているけれど、すぐに入って席に着くことができた。
 いつものように定食を二つ、頼んだ。
「お兄さんたちにお子さんがいたのには驚きました」
 貴博さんよりかなり先に結婚しているのだからいてもおかしくはないんだけど、貴博さんから子どもがいると聞いていなかったので、ちょっとびっくりしたのだ。
 でも子どもたち、かわいかったなぁ。
「四人とも男だからなぁ」
「甥っ子、かわいくないんですか?」
「いや、かわいいよ。かわいいけど、俺が子どもの時のことを思い出すと、素直にかわいいと言えないところがなあ」
 男の子四人ってのは、それは確かにとても大変そうだ。歳も近いから、結託していたずらなんてされた日には、と考えると、先が思いやられるのは分かる。
「みんな、目が大きくて、とても利発そうで、かわいかったですね」
「……天使の顔をした悪魔と言われていたのを思いだしたよ」
「貴博さん、いたずらっ子だったんですか?」
「上の二人には負けるけど、それなりにはね」
 そう言われてみると、片鱗はうかがえる。ちょっとやんちゃなところとか、犬っぽいところとか。
「だけど俺は大人しかったぞ。そういう真白はどうだったんだ?」
「私ですか……?」
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