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テンプテーション【完結】
第5章 幸せの誘惑(完)
*
妊娠していることが分かったため、結婚式を前倒しにすることとなった。前に打ち合わせをした時はまだ日程の調整が必要だからと決まっていなかったのが幸いだった。
なんでも、夕刻に挙式をして披露宴をするというプランもあるということだったので、そちらにしようという話になったのだ。それだと、早めに式ができるということだった。
招待客もどうしても外せない人たちだけということになり、予定よりこぢんまりして助かった。
ウエディングドレスも着てみたかったけれど、どうしても着たかった白無垢にした。まだお腹が大きくない時期だったけれど、つわりはとてもひどかったからどうなることかと心配していたけれど、式の当日は緊張のためか、それほどひどくなかった。
「俺、すごく嬉しいんだ」
式を挙げるために神宮へと向かっているところで貴博さんがぽつりと呟いた。
「真白と式を挙げられるのも嬉しいけれど、子どもと一緒に、三人で式ができるって思うと、とても嬉しいんだ」
「…………っ!」
思いかけない言葉にせっかく綺麗に化粧をしてもらったのにぼろぼろと涙があふれてしまった。
結婚してからとはいえ、思わぬ速さで妊娠したことでちょっとした戸惑いはあった。それによって式を早めて周りの人たちに迷惑を掛けたなとかなり落ち込んでいたのもあったんだけど、貴博さんのその一言でとても救われた。
「真白っ? どうした、調子が悪いのかっ?」
私がぼろぼろと泣いている横で貴博さんはおろおろしていた。
「ちが……っ、違うの」
妊娠していることが分かったため、結婚式を前倒しにすることとなった。前に打ち合わせをした時はまだ日程の調整が必要だからと決まっていなかったのが幸いだった。
なんでも、夕刻に挙式をして披露宴をするというプランもあるということだったので、そちらにしようという話になったのだ。それだと、早めに式ができるということだった。
招待客もどうしても外せない人たちだけということになり、予定よりこぢんまりして助かった。
ウエディングドレスも着てみたかったけれど、どうしても着たかった白無垢にした。まだお腹が大きくない時期だったけれど、つわりはとてもひどかったからどうなることかと心配していたけれど、式の当日は緊張のためか、それほどひどくなかった。
「俺、すごく嬉しいんだ」
式を挙げるために神宮へと向かっているところで貴博さんがぽつりと呟いた。
「真白と式を挙げられるのも嬉しいけれど、子どもと一緒に、三人で式ができるって思うと、とても嬉しいんだ」
「…………っ!」
思いかけない言葉にせっかく綺麗に化粧をしてもらったのにぼろぼろと涙があふれてしまった。
結婚してからとはいえ、思わぬ速さで妊娠したことでちょっとした戸惑いはあった。それによって式を早めて周りの人たちに迷惑を掛けたなとかなり落ち込んでいたのもあったんだけど、貴博さんのその一言でとても救われた。
「真白っ? どうした、調子が悪いのかっ?」
私がぼろぼろと泣いている横で貴博さんはおろおろしていた。
「ちが……っ、違うの」