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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
そうなのだ。私たち新人は二十人。三人で一組と言われたけれど、一組はどうあっても二人になる。そして私が組んだのは四人。
「仲良くなった人でグループを作ったら四人になってしまって、だれかひとり、抜けないといけなかったし、揉めるのは時間の無駄だったし、さゆみちゃんがひとりだったからちょうどいいと思ったの」
「それは普通の考えですが、まさかその後」
そう言って月野木さんは思い出したらしく、またもや笑い出した。意外にも笑い上戸かもしれない。
「三人一組って言ったのに足りないから、講師に入れと言うとは」
「だってあれは二人では出来なかったじゃない」
「そうだけど、普通はそこは適当にやるでしょう?」
「……悪かったわね、馬鹿正直で」
「いえ。それを見て、かなり惹かれたんです」
「惹かれたんじゃなくて、引いたの間違いじゃないの?」
「引きませんよ」
またもやくすくすと笑う月野木さんに少しだけむっとしたから唇を尖らすと、頬をつつかれた。
「そんな口していたら、キスしますよ」
「……なんですか、告白した途端にオヤジと化すのは」
「ずっと我慢してましたからね。ストッパーが外れてしまいました」
「掛け直してください」
「努力はします」
月野木さんの言っている出来事は、入社して二週間位してからの話だ。すでにその頃からさゆみちゃんは浮いていた。
ずっと座学だったし、さゆみちゃんはひとりでマイペースになんでもきちんとこなしているようだったから様子を見ているだけだったのだけど、さすがにこのときはグループを組んでいた子の一言でどうにかしなければと思ったのだ。
「森山さんは浮いてましたからね。気にはなってましたけど、俺が声を掛けたらますます孤立すると思って歯がゆい思いで見ていたんですよ」
それはもしかして、月野木さんは最初、さゆみちゃんのことが好きだったってこと?
私の疑問に月野木さんはすぐに気がついたようだった。
「別に好きだったわけではないですよ。産業医として気になったんです」
そのことにホッとした自分にちょっと戸惑った。
「仲良くなった人でグループを作ったら四人になってしまって、だれかひとり、抜けないといけなかったし、揉めるのは時間の無駄だったし、さゆみちゃんがひとりだったからちょうどいいと思ったの」
「それは普通の考えですが、まさかその後」
そう言って月野木さんは思い出したらしく、またもや笑い出した。意外にも笑い上戸かもしれない。
「三人一組って言ったのに足りないから、講師に入れと言うとは」
「だってあれは二人では出来なかったじゃない」
「そうだけど、普通はそこは適当にやるでしょう?」
「……悪かったわね、馬鹿正直で」
「いえ。それを見て、かなり惹かれたんです」
「惹かれたんじゃなくて、引いたの間違いじゃないの?」
「引きませんよ」
またもやくすくすと笑う月野木さんに少しだけむっとしたから唇を尖らすと、頬をつつかれた。
「そんな口していたら、キスしますよ」
「……なんですか、告白した途端にオヤジと化すのは」
「ずっと我慢してましたからね。ストッパーが外れてしまいました」
「掛け直してください」
「努力はします」
月野木さんの言っている出来事は、入社して二週間位してからの話だ。すでにその頃からさゆみちゃんは浮いていた。
ずっと座学だったし、さゆみちゃんはひとりでマイペースになんでもきちんとこなしているようだったから様子を見ているだけだったのだけど、さすがにこのときはグループを組んでいた子の一言でどうにかしなければと思ったのだ。
「森山さんは浮いてましたからね。気にはなってましたけど、俺が声を掛けたらますます孤立すると思って歯がゆい思いで見ていたんですよ」
それはもしかして、月野木さんは最初、さゆみちゃんのことが好きだったってこと?
私の疑問に月野木さんはすぐに気がついたようだった。
「別に好きだったわけではないですよ。産業医として気になったんです」
そのことにホッとした自分にちょっと戸惑った。