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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
「そうだったんだ」
 昨日、なんとなくそうなのではないかと思っていた通りの答えだった。
「なんでも美味しそうに食べるし、俺のくだらない話も真剣に聞いてくれた」
「くだらなくなかったよ。面白いと思って聞いてた」
「それならいいんだけど」
「あ、白い犬は面白いはつまんなかった」
「……あれは滑ったと思って反省してる」
 しゅんとうなだれた月野木さんが面白くて、くすりと笑いが洩れた。
「月に一度だったけど、会う度に好きだって思えた」
「気が長いね」
「頻繁に会っていたら気持ちが暴走しそうだったからちょうどいい長さだったよ」
「月野木さんも独特の感性を持ってるよね」
「そうか?」
「普通は好きな人には毎日会いたいって思うんじゃないの?」
「それは経験上?」
「ううん。周りの子の話」
「じゃあ、真白は今まで、そう思った好きな人はいなかった?」
 聞かれて、悩んでしまった。
 好きな人はいたかもしれないけど、そんなに焦がれるほど強く思ったことはなかった。
「一目見られたらラッキーくらいの好きな子はいたかなあ」
「ふぅん?」
 そういって月野木さんは顔を寄せてきた。お酒を飲んだからか、先ほどよりも月野木さんの熱を感じた。
「ちょっと妬けるな」
「なんでですか」
「だって真白は俺のこと、そういう対象として見てくれてないだろう?」
「まあ、そうですね」
 さらっと口にすると、ため息をつかれた。
「……こう言ったらなんだけど、翻弄することはあったけど、こんなに翻弄されるのは初めてだ」
「そうですか。いい初体験ですね」
「まったくだね」
 ようやくいつもの調子を取り戻してきたので、聞こうと思っていたことを口にした。
「月野木さんがそんな前から……えと……」
 好きだったなんて知りませんでしたと言っていいのかと躊躇して口ごもったら、にやにやとした人の悪い笑みを返してきた。この人、私がなにを聞こうとしたのか分かったみたいだ。
「真白?」
「う……」
「俺がなんだ?」
「……いえ、なんでも」
「ないことないよな? 遠慮せずにほら、なんでも聞いて」
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