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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
「なあ、真白」
「なんですか」
「子どもは何人欲しい?」
「……は?」
「結婚式は挙げたい派?」
「あの?」
「新婚旅行はどこがいい? 家は持ち家? 借家? マンション? それとも一軒家?」
「月野木さん?」
「……やっぱりちょっと酔ってる」
「そうだと思います」
「真白相手だとどうにもガードが緩くなるというか、どうにもいかんな」
 月野木さんはそう呟くと、お冷やをぐっと飲み干した。ちなみに料理はすでに食べ終わっている。
「デザートを食べたら帰るか」
「そうですね。いい時間です」
 酔ってはいたけれど、この時点ではまだ正気を保っていた。
 だけどデザートを食べたらほっとしたようで、いきなり酔いが回ってきた。出された熱いお茶を飲んだら少しは落ち着いたけれど、立ち上がれなさそうだった。
「……月野木さん」
「どうした?」
「その……酔いました」
「知っている」
「ここのお店、何時までですか」
「いや、まだ大丈夫だと思うが……。ちょっと待っていろ。タクシーを呼んでもらう」
「はい、すみません」
 調子に乗って飲み過ぎたみたいだ。そして相手が月野木さんってのも悪かった。
 月野木さんにもいわれたけれど、どうにも月野木さん相手だと気心が知れているというのも手伝い、気が緩んでしまう。
「月野木さぁん」
 酔っ払ってふわふわして気持ちがいい。そして酔っ払いは大胆になる。
 隣に座る月野木さんの肩にもたれ、腕をつかんだ。どきどきするかと思ったら、予想外に落ち着いた。熱く火照った頬がスーツに気持ちがいい。
「真白?」
「ん……」
 目を閉じると心地よい眠りが訪れる。
「タクシーが来たら起こしてください」
「って、おいっ!」
 タクシーが来るまでにそこそこ時間があると思われたので、私はそれまで少しの間、目を閉じていることにした。
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