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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
    *

 目が覚めるといつもと違っていた。私の布団はこんなにふかふかではない。しかも服が妙な感じがする。
 まぶたに力を入れた後に覚悟して開くと、見覚えのない風景に驚いて一気に目が覚めた。
「ここ、どこよっ」
 がばりと跳ね起きると、ずきんと頭が痛んだけれど、それは一瞬だった。
 周りを見回して、自分の身体を見下ろす。
 昨日、着ていたブラウスにスカート。だけど胸のあたりがすかすかするのはブラジャーのホックが外れているからだろうか。シュシュもなくて、髪がおりているのが分かった。
 それで、ここはどこ?
 戸惑っていると、ドアが開いてだれかが入ってきた。
「真白、起きた?」
「……えっと?」
 薄青の少しくたびれた感じのシャツをざっくりと羽織った月野木さんがそこにはいた。私服姿を見るのは初めてかもしれない。しかしイケメンは、適当に服を着てもイケメンぶりは変わらないらしい。
「ここはどこでしょうか」
「俺の部屋」
「……どうして私、月野木さんのおうちにお邪魔をしているのでしょうか」
「真白の家は知っているけど、酔っ払ったまま帰すのが不安だったから連れてきた」
「そうですか」
 男の人と二人きりで飲んで、前後不覚になるほど酔っ払ってお持ち帰りされても文句は言えないよね。そして持ち帰った人は、私のことが好きだと言っている人だ。寝ている間にナニされていても仕方がない。そんな痕跡はないけれど、それは私が経験がないから分からないだけかもしれない。
「私、暴れたり吐いたり戻したり暴言を言ったりしませんでしたか」
「似たような言葉を並べられたような気がするけど、どれもなかった。むしろ俺に寄っかかってこられて理性が危なかった」
「…………」
 酔っ払いの私はなにをしているのですか。
「苦しそうだったからブラジャーのホックは外させてもらった」
「はい、ありがとうございます……?」
 そこはお礼を言うべきところか疑問に思ったけれど、寝るのならゆったりとした格好で寝たいからいいとしておこう。
「お礼はいらない。俺へのご褒美として、ちょっとだけ触らせてもらった」
「……触ったんですか」
 いやまあ、触るよね、男の人ならきっと。
「触らせてもらったけれど、触っただけだ。揉んだりしてないぞ。俺は紳士だからな。酔っ払っている人には手は出さない」
「触っておいて、しかも自分で紳士っていいますか」
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