この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
 黒い短髪に黒縁眼鏡。グレイのスーツを颯爽と着こなしている男性。こうして見ると、周りがイケメンと騒ぐのも分かる気がする。
 鋭い視線でなにかを探しているように見えたけれど、私を見つけると大きく手を振ってきた。
「東泉さんっ!」
 見た目と違わぬ爽やかな声で名前を呼ばれたので、同じように手を振って応えた。すると目尻が下がり、急に鋭さが消えるのだから不思議だ。
「そろそろかと思って迎えに出てきました」
 こういう気の利くところも人気の秘密かもしれない。
「お店の場所が分からないからメッセージをしようと思っていたところだったんです。ありがとうございます」
 お礼を述べると月野木さんは照れくさそうに笑った。
 月野木さんを見てると、昔、実家で飼っていた犬を思い出してしまう。普段は玄関先でだらりと寝転がっているだけなのだけど、帰ってきた家族の足音が聞こえた途端、むくりと起きあがって、しっぽを振って座って待っているのだ。かわいかったなあ……。
「東泉さん?」
「あ……ごめんなさい」
 思い出に浸っているうちに月野木さんは私の目の前に立っていた。月野木さんは身長が高いから、隣に立たれると見上げなければならない。
 顔を上げると視線が合って、にっこりと微笑まれた。私もつられて笑い返す。
「お待たせしてごめんなさい」
「大丈夫ですよ。ただ、待ってる間に少し飲んでましたけど」
「なにを飲んでいたんですか?」
「日本酒を少し。月見酒としゃれ込んでみました」
「あぁ、それで月が綺麗ですって」
「そうなんです」
 そう言って月野木さんはさりげなく私の荷物を手に取り、半歩前を歩き始めた。私はその後ろをついて行く。
「とても風情のあるお店なんですよ」
 そういって笑った月野木さんはとても嬉しそうで、彼には失礼かもしれないけれど、犬みたいだなと改めて思って、笑顔を返した。
/210ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ