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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
 もっとクールな人だと思っていたのに、それは月野木さんのほんの一部でしかなかったようだ。
「それでは、ここまで送ってくださり、ありがとうございます」
「……すごいつれない」
 淋しそうな表情をしているけど、家に上げるなんて危険なことはしませんよ。それに、片づいてないし!
 会釈をして部屋へ向かおうとして、ふと思い出したことがあった。
「あ、そういえば」
 酔っぱらってしまってすっかり忘れていたけれど、確認しておかなければ。
「昨日の食事代」
「あぁ。しっかりもらった」
「え? 私、払いましたか?」
 酔っていたからまったく記憶にないけれど、きちんと払っていたのなら良かった。
「それでは、次の食事会の場所が決まったらメッセージしますね」
「……分かった」
 あっさりと引き下がる月野木さんにホッとしたけれど、少し物足りないというか、淋しいというか。
 いやいや、だからそれは月野木さんの戦略なんだって!
 エントランスに入る前に振り返ると、かなり淋しそうな表情をした月野木さんがいた。会釈をしてから中に入った。
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