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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
*
買ってきたお弁当を食べながら、お酒の飲み比べをしたり、おつまみを食べていると、楽しい時間はあっという間に過ぎていた。
ちなみに今回も私はひとり掛けのソファで、月野木さんは向かい側の床の上に座っていて距離がある。いつも通りという安心があり、つい気が緩んでいた。
時計を見ると、すでに二十二時。さすがにそろそろ帰らないとまずいと思ったけれど、うち飲みで油断して、またもや飲み過ぎていた。
「真白?」
さっきまで東泉さんって呼んでいたのに、なんで急に名前なの?
「もしかして、酔った?」
「……ちょっと」
「歩けそう?」
「お水飲んで、酔いを醒ませば」
だって、月野木さんがいつも通りで、しかもお酒が美味しかったんだもん。
月野木さんは立ち上がり、お水を取りに行ってくれた。
昔、女友だちの家でこうやってお酒を飲んだことを思い出すくらい、月野木さんとはお友だち感覚でいた。
「水、飲めるか?」
「ん……」
受け取るととても冷たくて、水滴のついた表面を頬に当てると気持ちが良かった。そうやって頬を冷やしていると、月野木さんの指が伸びてきて、前髪を指先で触れてきた。びくりと身体を振るわせると、笑われた。
「真白は」
「……ん?」
「油断しすぎ」
「な……?」
月野木さんの顔が近づいてきて、おでこを合わせられた。月野木さんの温い体温を感じた。
「たとえば、こんなに顔を近づけても避けない。キスされても文句を言えないよな?」
近すぎて見えにくいけど、眼鏡越しにじっと瞳をのぞき込まれているのが分かった。急に空気が甘ったるいものに変わったような気がする。でも、私は流されないんだから。
「や……で、すよ?」
「してもいいって確認しても駄目?」
だから、どうしてこの人は確認をするの?
「駄目って言うに決まってるじゃないですか」
そう返事を返すとしょんぼりして離れていった。すると甘ったるい空気が元に戻って、遅れて心臓の鼓動が速まった。
まだ心臓はどきどきしていたけれど、離れたことに安堵していると、月野木さんが私の身体を覆うように被ってきて、あっと思う間もなく顔が近づいて、唇が重なった。驚いて目を見開くと、目の前にはいつの間にか眼鏡を外して瞳を閉じた月野木さんの顔。まつげ、長いな……なんて。
買ってきたお弁当を食べながら、お酒の飲み比べをしたり、おつまみを食べていると、楽しい時間はあっという間に過ぎていた。
ちなみに今回も私はひとり掛けのソファで、月野木さんは向かい側の床の上に座っていて距離がある。いつも通りという安心があり、つい気が緩んでいた。
時計を見ると、すでに二十二時。さすがにそろそろ帰らないとまずいと思ったけれど、うち飲みで油断して、またもや飲み過ぎていた。
「真白?」
さっきまで東泉さんって呼んでいたのに、なんで急に名前なの?
「もしかして、酔った?」
「……ちょっと」
「歩けそう?」
「お水飲んで、酔いを醒ませば」
だって、月野木さんがいつも通りで、しかもお酒が美味しかったんだもん。
月野木さんは立ち上がり、お水を取りに行ってくれた。
昔、女友だちの家でこうやってお酒を飲んだことを思い出すくらい、月野木さんとはお友だち感覚でいた。
「水、飲めるか?」
「ん……」
受け取るととても冷たくて、水滴のついた表面を頬に当てると気持ちが良かった。そうやって頬を冷やしていると、月野木さんの指が伸びてきて、前髪を指先で触れてきた。びくりと身体を振るわせると、笑われた。
「真白は」
「……ん?」
「油断しすぎ」
「な……?」
月野木さんの顔が近づいてきて、おでこを合わせられた。月野木さんの温い体温を感じた。
「たとえば、こんなに顔を近づけても避けない。キスされても文句を言えないよな?」
近すぎて見えにくいけど、眼鏡越しにじっと瞳をのぞき込まれているのが分かった。急に空気が甘ったるいものに変わったような気がする。でも、私は流されないんだから。
「や……で、すよ?」
「してもいいって確認しても駄目?」
だから、どうしてこの人は確認をするの?
「駄目って言うに決まってるじゃないですか」
そう返事を返すとしょんぼりして離れていった。すると甘ったるい空気が元に戻って、遅れて心臓の鼓動が速まった。
まだ心臓はどきどきしていたけれど、離れたことに安堵していると、月野木さんが私の身体を覆うように被ってきて、あっと思う間もなく顔が近づいて、唇が重なった。驚いて目を見開くと、目の前にはいつの間にか眼鏡を外して瞳を閉じた月野木さんの顔。まつげ、長いな……なんて。