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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
「真白」
「はい、貴博さん」
「────っ!」
 貴博さんは真っ赤になって私から視線を逸らした。
「いきなり名前呼びって、理性とばすようなことをすんな」
「え……? 駄目でした?」
「いや、いい」
 だって結婚するのなら、いつまでも月野木さん呼びはどうかと思ったのだ。
「もっと呼んで」
「貴博さん、好きです」
 そう口にすれば、心の中のもやもやとしたなにかがすっきりとしたような気がした。
 好きという言葉はとても甘ったるくて、私に陶酔を与えてくれた。
「真白」
「はい」
「今日は帰さないぞ?」
「……困ります」
 だって着替えがないのに、しかもいきなり泊まるなんて出来ない。
「真白が困っても、俺が帰したくない」
 わがままな貴博さんの言葉に、だけどとても嬉しいと思ってしまう。
 唇を重ね合わされて、下唇を喰まれた。貴博さんは奔放に私の唇を弄び、喘ぐ私をさらにあおった。
 胸もキャミソール越しに触れていたかと思ったら、裾からたくし上げられ、素肌が露出した。直に触られて、熱い手のひらにやけどしそうだった。
 胸をこねられて、頂を摘ままれた瞬間、私の身体は驚き、跳ねた。それはまるで体内に電気を流されたかのような感覚。
 しかも貴博さんの唇が私の頬に触れ、首筋をたどり、鎖骨の辺りを舐めていく。ときどき、ちくりとした痛みが走ることに不思議に思ったけれど、それさえも気持ちが良くて身体が跳ねる。
「あ……んっ、た……かひろ、さん、の、いじわ……る」
「どうして?」
「気持ちよくて、おかしくなりそう」
 貴博さんの服を握りしめて告げると、貴博さんは嬉しそうに笑った。
「もっとおかしくなればいい」
 貴博さんはそう言うと私の胸を舐め、頂を何度も摘まんだり、指で押し込んできたりした。思考がピンクに霞んでいく。
 貴博さんは私の右の頂を口に含み、舌でころころと転がした。そうされるとおなかの奥が切なく疼き始めたのが分かった。すごく気持ちがよくて、腰が勝手に動く。
「ん……あぁ」
 初めてなのに、どうしてこんなに気持ちがいいのだろうか。
「気持ちいい?」
「うん、すごく気持ちいい」
 貴博さんの確認に答えると、嬉しそうに笑った。
「俺も真白が感じてくれてるのを見て、とても気持ちがいい」
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