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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
 友だちが何度か遊びに来たことがあるし、泊まっていったこともある。今週は比較的余裕があったから片付いてはいるけれど、それでも予告なく人が来るのは恥ずかしい。
 貴博さんは部屋に入るなり、物珍しいようできょろきょろと見回していた。
「予想通りの部屋だ」
「予想通りってなんですか」
「飾り気のない、シンプルな部屋だろうなと想像してた」
 実家の部屋が母の好みで過剰にひらひらとしたピンクだったのでその反動というのもあるけれど、センスに自信がないからこうなったという事情もある。
「明日、もう少し詳しい話がしたい」
「詳しい話?」
 そういいながら貴博さんは部屋に入ってきて、真っ直ぐに布団に向かい、敷いてくれた。
「さて、寝るか」
「え?」
 いやまあ、布団は一組しかないから一緒に寝るしかないですけど! なんというか、貴博さんのペースがよく分からない。
「真白は着替えるだろ? 俺が温めておいてやる」
「……はぁ」
 このままでは寝られないから着替えるけど、なんといえばいいのやら。
 お風呂には入っていたからパジャマに着替えると、すでに貴博さんは寝たようだった。
 私も眠たかったので、電気を消して布団の端にはいると、抱き寄せられた。
「おやすみ、真白」
 寝たと思っていたら、まだのようだった。耳元で甘い声で囁かれて、くすぐったい。
「おやすみなさい、貴博さん」
 自分以外の気配があるとなかなか寝付けないのに、どうしてだろう。貴博さんに抱きしめられていると気持ちが良くて、すぐに眠りに就いた。
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