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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
 実家にいるときから一人部屋だったから、あんまり人と一緒に寝ることがなかった。だから学校から泊まりがけでとなると、人の気配がしてなかなか寝付けない上に、眠りが浅くて辛かったのを覚えている。
 だけど貴博さんと一緒に寝ていると、それがなくて不思議だ。
 プロポーズされて、流されるように返事はしたけれど、よくよく考えたら結婚って今までまったく違う環境で暮らしてきた者同士が同じ屋根の下で生活をするということだ。好きだけではやっていけない、生々しい部分がある。
 たとえばだけど、今回のように一緒のお布団に入ってちゃんと眠れるかというのも些細だけど大きな問題だと思う。
 もしかして、貴博さんが泊まりに来て欲しいと言ったのは、こういうことを確かめたかったからなのだろうか。
 あとは部屋を見ればその人がどんな人なのかというのも分かるから、それを確認しに来た?
 前から分かっていたけれど、そういう抜け目のなさみたいなところが、ちょっと腹黒さを感じさせる。でも、お互い、後悔したくないよね。
 好きっていう浮かれた気持ちだけではない部分を知って、さらに好きという気持ちが募ってきて、かなり困ってしまった。
 貴博さんも変わっているけど、私も変わっている人だったのかなと、新たな発見。
 そうすると、お似合いなのかな? と考えて、あまりの恥ずかしさに顔が赤くなるのが分かった。
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