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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
そういって貴博さんはくすくすとおかしそうに笑うとするりと布団から抜け出した。
「駅前でブランチ摂って、それから真白の実家に行こう」
「あの……それなら、うちの家でお昼でも」
「いや、それはやめておくよ」
「どうしてですか?」
「初めて、しかも結婚の話をしに行くのにお昼をいただくことはできないよ」
挨拶ってやっぱりそっちなのっ?
「あのっ、貴博さんっ?」
「なんだ?」
「うち、本当に平凡な家ですけど、貴博さんのおうちと釣り合いますか?」
「……え?」
貴博さんは何度も瞬きをして、それから私の顔をじっと覗き込んできた。なにか私、おかしなことを言いましたか?
「真白さん?」
「はい」
「それ、本気で言ってる?」
「それってどれですか」
「釣り合いますかって」
今度は私が瞬きをする番だった。
「前にうちの姉がお医者様とお付き合いをしていたとき、先方のお母さまからそんなことを言われたって言ってましたけど? それが原因で別れたって」
流されるように結婚すると言ってしまったけれど、ふと姉のこの一件を思い出したのだ。
私の家は本当に普通のサラリーマンだ。私自身は家柄がどうのだとかそういうのは気にしないけれど、周りにはそういうのを気にする人もいるというのは知っている。
貴博さん本人が気にしなくても、ご両親がどう思われているのか分からない。
「うちはそんなことは気にしない」
「そうなんですか?」
「上二人はすでに結婚してるけど、二人とも恋愛結婚だぞ」
それでも不安そうな表情を私はしていたようだった。貴博さんは私のところに戻ってきて、しゃがみ込んだ。
「他の家は知らないけれど、うちの親は子どもの意志を尊重してくれる。俺が真白と結婚したいと言えば、駄目とは言わない」
「……はい」
「真白の家はどうだ?」
「……分かりません。だって私、結婚しないって親には宣言していましたから」
「それで、駄目だとかは?」
「言われませんでした。好きにすればいいって。したくなればすればいいし、したいと思わないのならしなくてもいいって」
「それと一緒だよ」
「駅前でブランチ摂って、それから真白の実家に行こう」
「あの……それなら、うちの家でお昼でも」
「いや、それはやめておくよ」
「どうしてですか?」
「初めて、しかも結婚の話をしに行くのにお昼をいただくことはできないよ」
挨拶ってやっぱりそっちなのっ?
「あのっ、貴博さんっ?」
「なんだ?」
「うち、本当に平凡な家ですけど、貴博さんのおうちと釣り合いますか?」
「……え?」
貴博さんは何度も瞬きをして、それから私の顔をじっと覗き込んできた。なにか私、おかしなことを言いましたか?
「真白さん?」
「はい」
「それ、本気で言ってる?」
「それってどれですか」
「釣り合いますかって」
今度は私が瞬きをする番だった。
「前にうちの姉がお医者様とお付き合いをしていたとき、先方のお母さまからそんなことを言われたって言ってましたけど? それが原因で別れたって」
流されるように結婚すると言ってしまったけれど、ふと姉のこの一件を思い出したのだ。
私の家は本当に普通のサラリーマンだ。私自身は家柄がどうのだとかそういうのは気にしないけれど、周りにはそういうのを気にする人もいるというのは知っている。
貴博さん本人が気にしなくても、ご両親がどう思われているのか分からない。
「うちはそんなことは気にしない」
「そうなんですか?」
「上二人はすでに結婚してるけど、二人とも恋愛結婚だぞ」
それでも不安そうな表情を私はしていたようだった。貴博さんは私のところに戻ってきて、しゃがみ込んだ。
「他の家は知らないけれど、うちの親は子どもの意志を尊重してくれる。俺が真白と結婚したいと言えば、駄目とは言わない」
「……はい」
「真白の家はどうだ?」
「……分かりません。だって私、結婚しないって親には宣言していましたから」
「それで、駄目だとかは?」
「言われませんでした。好きにすればいいって。したくなればすればいいし、したいと思わないのならしなくてもいいって」
「それと一緒だよ」