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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
 そう言われたら納得だし、貴博さんのこの性格を思うとそれほど気難しそうなご両親ではないような気がするけれど、それでも不安はつきまとう。
「それよりも俺の方が駄目出しをくらいそうで怖いよ」
「大丈夫ですよ」
 とはいえ、結婚前の挨拶は緊張するとだれもが言っているから、貴博さんも緊張しているかもしれない。
「それじゃあ、名残惜しいけど、十時に駅前で」
「はい」
 そう言うと貴博さんは私の頬にキスをして、部屋を出て行った。
 さっきまで貴博さんがいた部屋は狭いはずなのに、とても広く感じてしまった。
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