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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?

とはいえ、それは正解だったので、小さなうなずきを返した。なんだか言いつけをしてるみたいで嫌だけど、嘘もつきたくない。
「あの人は相変わらずですか」
ため息混じりにそう言われ、そういえばこの人はうちの会社の産業医だったことを思い出した。半年に一度、メンタルヘルス診断というのをやっていて、産業医のだれかと面談するのを思い出した。私も何度か月野木さん相手に話をしたことがあった。
「スケジュール管理が下手な人は困りますよね」
あ、珍しく月野木さんが愚痴モードだ。
「……すみません、今のは聞かなかったことにしてください」
少し苛立った様子も珍しいと思いながら、私はまた、小さくうなずきを返しておいた。
それから私たちはいつも以上に言葉少なく食事をした。
食事はどれも美味しいし、お酒も美味しいし、明日が休みならもうちょっと飲みたかったなあ。また飲みたいから、日本酒の銘柄は聞いておいてメモしよう。
最初、薄暗かったから気がつかなかったんだけど、目の前は壁ではなくて、全面ガラス張りのようだった。控えめにライトアップされた中庭に面した作りになっていて、なんともムードのある場所だった。
しかも格子戸を閉めてしまえば二人っきりの密室で、これは恋人同士が来たがるわけだわと感心した。
あれ? 恋人同士?
……そういえば月野木さんが連れていってくれるお店って、基本はカップル向けばかりだったような気がする。
もしかして、彼女とお店に行くための下調べに私、利用されている?
まー、それならそれで別にいいけど、彼女がいるのなら月一の食事会は続けられないかなあ。だって、彼女に誤解されたくないじゃない? 無駄な争いには巻き込まれたくないし。
食事が終わってデザートを食べながら、そういえば月野木さんに話そうと思っていたことを思い出したから口を開いた。
「さゆみちゃん、彼氏が出来たんだって」
「みたいだね。本人から聞いたよ」
「なんだー。さゆみちゃんと仲、いいんだ」
「あの人は相変わらずですか」
ため息混じりにそう言われ、そういえばこの人はうちの会社の産業医だったことを思い出した。半年に一度、メンタルヘルス診断というのをやっていて、産業医のだれかと面談するのを思い出した。私も何度か月野木さん相手に話をしたことがあった。
「スケジュール管理が下手な人は困りますよね」
あ、珍しく月野木さんが愚痴モードだ。
「……すみません、今のは聞かなかったことにしてください」
少し苛立った様子も珍しいと思いながら、私はまた、小さくうなずきを返しておいた。
それから私たちはいつも以上に言葉少なく食事をした。
食事はどれも美味しいし、お酒も美味しいし、明日が休みならもうちょっと飲みたかったなあ。また飲みたいから、日本酒の銘柄は聞いておいてメモしよう。
最初、薄暗かったから気がつかなかったんだけど、目の前は壁ではなくて、全面ガラス張りのようだった。控えめにライトアップされた中庭に面した作りになっていて、なんともムードのある場所だった。
しかも格子戸を閉めてしまえば二人っきりの密室で、これは恋人同士が来たがるわけだわと感心した。
あれ? 恋人同士?
……そういえば月野木さんが連れていってくれるお店って、基本はカップル向けばかりだったような気がする。
もしかして、彼女とお店に行くための下調べに私、利用されている?
まー、それならそれで別にいいけど、彼女がいるのなら月一の食事会は続けられないかなあ。だって、彼女に誤解されたくないじゃない? 無駄な争いには巻き込まれたくないし。
食事が終わってデザートを食べながら、そういえば月野木さんに話そうと思っていたことを思い出したから口を開いた。
「さゆみちゃん、彼氏が出来たんだって」
「みたいだね。本人から聞いたよ」
「なんだー。さゆみちゃんと仲、いいんだ」

