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テンプテーション【完結】
第1章 告白から始まる恋?
 食事会を開くことになったきっかけはさゆみちゃんだったのに、その本人が最初に抜けたのは、もしかして月野木さんとさゆみちゃんの仲が悪いからなんて思い悩んでいたのが馬鹿みたいだ。
「いや、久しぶりにだよ。森山さんから一方的に報告って形で会社のメールに来たから知ったんだ」
「そうなんだ」
 あれ、やっぱり二人、仲が悪いの? だったらこの話題はしたらいけなかったのかなあ。
 失敗したなあとデザートをこねくり回しながら食べていると、あっという間になくなった。お茶も飲み干してしまったし、なんだかいたたまれない。
「月が綺麗ですね」
「……へ?」
 唐突にメッセージと同じ言葉を月野木さんは口にした。
 私は思わず窓の上方に視線を向けた。暗闇に慣れてきた目は中庭の様子がそれなりに分かったけれど、空は真っ暗で、月は見えなかった。
「月なんて」
「見えないでしょうね」
「え?」
「本日の月の出は十八時過ぎ。ここから月を見るには、月が南中してないと見えません。それは今日の夜中」
 それならば、どうして月が綺麗ですね、なんて。
「……あ?」
 ひとつ、あるエピソードを思い出したけど、それってあり得ない話よ。
 明治の文豪・夏目漱石が《I love you》を《月が綺麗ですね》と訳したという逸話があるけど、それをなぞらえてるなんて。
「いやいや、それはないわ」
 これだけの至近距離だから、呟きは月野木さんにしっかり聞こえてしまったようだ。しかも、さっきより近いっ?
「つ、月野木さん?」
「月が綺麗ですね、真白」
「────っ!」
 声にならなかったけれど、月野木さんっ! と悲鳴を上げそうだった。
 だっていきなり耳元で苗字ではなくて名前を呼ばれたのよ?
 なにこれ、なにこれ! むちゃくちゃ凶悪なんですけど! この人、私を悶え殺す気なのっ?
 しかも月野木さんはなにを考えてるのか分からないけれど、少し身体を屈めて私の耳元で囁いた。
「真白、愛してます。結婚してください」
 えっ? なんでいきなりここで愛の告白の上、プロポーズなの? 前兆というか、予兆というか、そういう気配って今まであった?
 必死に記憶を掘り起こしてみるけれど、月一のこの食事会くらいしか月野木さんとは接点はないし、毎回、美味しいものを食べて、ちょっとした話をして、それで解散だった。
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