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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
*
なんというかですね、これはなんでしょうか。
こんなにあっさりと結婚が決まっていいものなんですか?
私が戸惑っているのに貴博さんはすぐに気がついたようだった。繋がれた手を軽く引っ張られた。
「どうした?」
「いえ……。あまりにもあっさりで、拍子抜けしてます」
「そうでもないぞ?」
そういえば、父が証人欄に書いているときに貴博さんになにか言っていた。
「不幸にしたら許さないと言われた」
「ふへっ」
「最初、真白のことを騙してないかと言われた」
父よ、失礼すぎではないですか。
「真白は彼氏はいらないと言っていたし、つい最近まで気配がなかったのに、どんな魔法を使ったんだとも言われた」
「貴博さん、魔法使いだったんですか」
「…………」
なんで無言なの?
「ものの例えだろう」
「分かってますよ? それ以外になにか意味があるんですか?」
「……知らないのならそれでいい」
はぐらかされてしまったような気がするけど、貴博さんは続けた。
「五年かけましたと伝えたら、呆れられた」
あぁ、それで父は目を丸くしていたのか。
「まったく気がついてもらえなくて困ったと話したら、苦笑していたよ」
「そんな恥ずかしい話、しないでくださいっ!」
「いきなりではなかったし、俺としては段階を踏んだということは知ってほしかったからね」
それに、と貴博さんは続けた。
「真白が俺のことを意識する前から俺は真白のことが好きだったし、それに……真白に嫌われても、俺は真白のことを愛し続けられると確信できたよ」
「なっ、なに恥ずかしいことをっ」
「恥ずかしくないよ。俺はこんなにも真白のことを愛せるのかって、誇りに思うし、自慢も出来る」
盛大なのろけを聞いて、しかも相手が私って、さっきとは別の意味でいたたまれないのですが!
「心の奥からわき出てくる愛おしいという気持ちを押さえきれない」
貴博さんってこんなにも恥ずかしいことを口にする人だったの?
「貴博さん、酔ってます?」
「酒には酔ってないが、真白には酔っている」
なんというかですね、これはなんでしょうか。
こんなにあっさりと結婚が決まっていいものなんですか?
私が戸惑っているのに貴博さんはすぐに気がついたようだった。繋がれた手を軽く引っ張られた。
「どうした?」
「いえ……。あまりにもあっさりで、拍子抜けしてます」
「そうでもないぞ?」
そういえば、父が証人欄に書いているときに貴博さんになにか言っていた。
「不幸にしたら許さないと言われた」
「ふへっ」
「最初、真白のことを騙してないかと言われた」
父よ、失礼すぎではないですか。
「真白は彼氏はいらないと言っていたし、つい最近まで気配がなかったのに、どんな魔法を使ったんだとも言われた」
「貴博さん、魔法使いだったんですか」
「…………」
なんで無言なの?
「ものの例えだろう」
「分かってますよ? それ以外になにか意味があるんですか?」
「……知らないのならそれでいい」
はぐらかされてしまったような気がするけど、貴博さんは続けた。
「五年かけましたと伝えたら、呆れられた」
あぁ、それで父は目を丸くしていたのか。
「まったく気がついてもらえなくて困ったと話したら、苦笑していたよ」
「そんな恥ずかしい話、しないでくださいっ!」
「いきなりではなかったし、俺としては段階を踏んだということは知ってほしかったからね」
それに、と貴博さんは続けた。
「真白が俺のことを意識する前から俺は真白のことが好きだったし、それに……真白に嫌われても、俺は真白のことを愛し続けられると確信できたよ」
「なっ、なに恥ずかしいことをっ」
「恥ずかしくないよ。俺はこんなにも真白のことを愛せるのかって、誇りに思うし、自慢も出来る」
盛大なのろけを聞いて、しかも相手が私って、さっきとは別の意味でいたたまれないのですが!
「心の奥からわき出てくる愛おしいという気持ちを押さえきれない」
貴博さんってこんなにも恥ずかしいことを口にする人だったの?
「貴博さん、酔ってます?」
「酒には酔ってないが、真白には酔っている」