この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
     *

 なんというかですね、これはなんでしょうか。
 こんなにあっさりと結婚が決まっていいものなんですか?
 私が戸惑っているのに貴博さんはすぐに気がついたようだった。繋がれた手を軽く引っ張られた。
「どうした?」
「いえ……。あまりにもあっさりで、拍子抜けしてます」
「そうでもないぞ?」
 そういえば、父が証人欄に書いているときに貴博さんになにか言っていた。
「不幸にしたら許さないと言われた」
「ふへっ」
「最初、真白のことを騙してないかと言われた」
 父よ、失礼すぎではないですか。
「真白は彼氏はいらないと言っていたし、つい最近まで気配がなかったのに、どんな魔法を使ったんだとも言われた」
「貴博さん、魔法使いだったんですか」
「…………」
 なんで無言なの?
「ものの例えだろう」
「分かってますよ? それ以外になにか意味があるんですか?」
「……知らないのならそれでいい」
 はぐらかされてしまったような気がするけど、貴博さんは続けた。
「五年かけましたと伝えたら、呆れられた」
 あぁ、それで父は目を丸くしていたのか。
「まったく気がついてもらえなくて困ったと話したら、苦笑していたよ」
「そんな恥ずかしい話、しないでくださいっ!」
「いきなりではなかったし、俺としては段階を踏んだということは知ってほしかったからね」
 それに、と貴博さんは続けた。
「真白が俺のことを意識する前から俺は真白のことが好きだったし、それに……真白に嫌われても、俺は真白のことを愛し続けられると確信できたよ」
「なっ、なに恥ずかしいことをっ」
「恥ずかしくないよ。俺はこんなにも真白のことを愛せるのかって、誇りに思うし、自慢も出来る」
 盛大なのろけを聞いて、しかも相手が私って、さっきとは別の意味でいたたまれないのですが!
「心の奥からわき出てくる愛おしいという気持ちを押さえきれない」
 貴博さんってこんなにも恥ずかしいことを口にする人だったの?
「貴博さん、酔ってます?」
「酒には酔ってないが、真白には酔っている」
/210ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ