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テンプテーション【完結】
第2章 自覚する想い
*
晴れて夫婦になって東泉から月野木になったわけですが、苗字が変わっても珍しくてちょっと長いのは変わらなかった。
「さて、俺の愛しの奥様。まだお腹が空いてないようなら、結婚指輪も見に行こうと思っているのですが、元気はありますか」
「結婚指輪っ?」
そういえば、お母さまからもそんな話が出ていたのを思い出した。
「普通の指輪にする? それとも、少し変わったのにしてみる?」
「少し変わったのとは?」
「プラチナに和彫りがされてる結婚指輪というのがあるらしい。母さんがさっき、ちらりとそんなことを言ってたな」
「ちょっと興味があります、見てみたいです」
実は和物が好きという話をそういえば昔、したことがあったような気がする。貴博さんは覚えていたらしい。
「なんだか楽しいな」
そういった貴博さんは本当に楽しそうで、私もつられて笑っていた。
貴博さんといると、気が緩む。包み込まれているようで、素の自分を出しても大丈夫なような包容力を感じさせられる。
だからつい甘えるようなことを無意識にやってしまう。
今も深く考えないで貴博さんの腕にしがみつくように腕を絡めたら、抱き寄せられた。
「真白」
「はい」
「俺と結婚してくれて、ありがとう」
まさかお礼を言われるとは思ってなくて、目を見開いた。
「百人にモテるより、一人の大好きな人に好きと言われる方が心が充足することを初めて知ったよ」
「貴博さん……」
「プロポーズしたけど、受け入れられなかったらどうしようとずっと思ってた。でも、真白は戸惑いながらも俺を受け入れてくれた。これほどうれしいことはない。ありがとう」
またお礼を言われて、くすぐったい気持ちになった。
私もお礼を言いたかった。
「私もです、ありがとうございます。ふつつかものですが、よろしくお願いします」
貴博さんは優しい笑みを向けてきて、それからおでこをこつんとぶつけてきた。急に貴博さんの顔が近くなって驚いた。
「こちらこそ、よろしく」
見つめ合った後、どちらからともなくくすくすと笑った。
なんだかとってもくすぐったくて、温かい気持ちになった。
晴れて夫婦になって東泉から月野木になったわけですが、苗字が変わっても珍しくてちょっと長いのは変わらなかった。
「さて、俺の愛しの奥様。まだお腹が空いてないようなら、結婚指輪も見に行こうと思っているのですが、元気はありますか」
「結婚指輪っ?」
そういえば、お母さまからもそんな話が出ていたのを思い出した。
「普通の指輪にする? それとも、少し変わったのにしてみる?」
「少し変わったのとは?」
「プラチナに和彫りがされてる結婚指輪というのがあるらしい。母さんがさっき、ちらりとそんなことを言ってたな」
「ちょっと興味があります、見てみたいです」
実は和物が好きという話をそういえば昔、したことがあったような気がする。貴博さんは覚えていたらしい。
「なんだか楽しいな」
そういった貴博さんは本当に楽しそうで、私もつられて笑っていた。
貴博さんといると、気が緩む。包み込まれているようで、素の自分を出しても大丈夫なような包容力を感じさせられる。
だからつい甘えるようなことを無意識にやってしまう。
今も深く考えないで貴博さんの腕にしがみつくように腕を絡めたら、抱き寄せられた。
「真白」
「はい」
「俺と結婚してくれて、ありがとう」
まさかお礼を言われるとは思ってなくて、目を見開いた。
「百人にモテるより、一人の大好きな人に好きと言われる方が心が充足することを初めて知ったよ」
「貴博さん……」
「プロポーズしたけど、受け入れられなかったらどうしようとずっと思ってた。でも、真白は戸惑いながらも俺を受け入れてくれた。これほどうれしいことはない。ありがとう」
またお礼を言われて、くすぐったい気持ちになった。
私もお礼を言いたかった。
「私もです、ありがとうございます。ふつつかものですが、よろしくお願いします」
貴博さんは優しい笑みを向けてきて、それからおでこをこつんとぶつけてきた。急に貴博さんの顔が近くなって驚いた。
「こちらこそ、よろしく」
見つめ合った後、どちらからともなくくすくすと笑った。
なんだかとってもくすぐったくて、温かい気持ちになった。