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忘れられる、キスを
第13章 デート
「これ乗ろう?」
「こ、これ…」

星くんが指差す先には轟音と悲鳴の聞こえるジェットコースター。
たしか、アップダウンの激しさももとより、速さは世界一位二位を争うとかいう代物ではなかっただろうか…

「スカッとしますよ!」

星くんがにかっと笑う。
そういうことだったのか…と思わず顔が紅くなる。

「苦手?やめとく?」
「う、だ、大丈夫…」
「なら良かった」

星くんは並んでいる間も始終楽しそうで、にこにこと私に話しかけてくる。
どうして、こんな私を、こんなに想ってくれるのだろう。
そんな疑問ばかりがぐるぐると渦巻く。

「先輩、乗りますよ」

ぼんやりしていたら、順番が回って来ていた。
一気に現実に引き戻され、緊張が高まる。
星くんには強がって見せたが、正直、絶叫マシンはあまり得意ではない。
星くんに掴まれた手から、震えが伝わったのだろうか。
きゅっと握りしめてくれる。

「なんだ、やっぱ、苦手なの?でも…」

星くんの目がほんの少し意地悪く光る。

「もう、降りられないよ?」

安全ベルトもバッチリ締められ、キリキリキリ…という音をさせながらコースターがゆっくりと発車する。

「だ、大丈夫…ちょっと緊張してるだけだか…あっ…」

がくん、とコースターが揺れ、私たちはレールの上を一気に急降下した。

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