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忘れられる、キスを
第13章 デート
「せーんーぱいっ」

後ろから声をかけられ、振り返ると、ぱっと左手を取られた。

「星くん、あの…」
「じゃ、行きますよー」

ウキウキした顔の星くんに手を引かれ電車にのる。

どこに向かってるのだろう。
気持ちイイこと、って…なに…?
もしかして、また、私、星くんに…

あらぬ妄想が頭の中を駆け巡る。
一人で悶々としていると、星くんが手を引っ張った。

「着きましたよ、先輩」
「ここ、って…」

着いたのはこの辺りでは割と有名な遊園地だった。
土曜日ということもあり、家族連れが多い。

「来たことあります?」
「一年の…サークルの新歓の時に…」

サークルに入ってすぐ、親睦会も兼ねて同期や先輩たちと遊びに来たことがある。

倉田先輩も、一緒に来たな…

「今日は、俺とのデートだから。俺のことだけ、見て」

急に真剣な顔になってこちらを覗き込む。
倉田先輩のことがチラついていたのがばれたのかもしれない。
でも、デートって…

「先輩がなんて思おうと、これはデート。あ、今日は先輩に拒否権ないから!昨日のお詫び、してくれるんでしょ?」

にこやかに言って、どんどん先へ進んでいく。
久し振りに足を踏み入れたそこは、目に入るもの全てが楽しげで、きらきらしていた。


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