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忘れられる、キスを
第13章 デート
暗闇の中で星くんの指が私の顔を探る。
長い指が頬を滑り、顎を捉え、唇を撫でる。

「……みっけ」

小さな声が聞こえ、くっと何かを唇に押し当てられた。

「んっ…んんんう…っふ…」

キス、されてる…?!

そう思った時には、すいっと星くんの生暖かい舌が唇を割って口腔内に侵入してきた。

「んっ…はっ……あ…」

逃れようとしても、すぐに捉えられてしまう。
ちゅっ、ちゅっとついばむように、そして、だんだん深く……
いつの間にか、暗闇の恐怖はすっかりどこかへいっていた。
もう、それどころではない。
耳に届くのは、おどろおどろしい怪奇音ではなく、淫らなリップ音と水音。

「あっ…は……っう…ほ、し……くっ…」
「怖いの、分かんなくなった?」
「は……っあ…んう……っ」

絶え間無く続くキスの嵐に息が荒くなる。

キスって、こんなに気持ちいいの…?

息苦しいのと気持ちいいのとで頭がくらりとする。

「先輩、耳朶柔らかいね」
「ひっ…やあああっ……んんっ…ふ…」

不意に、ちゅっと耳朶を吸われ、思わず悲鳴ともつかない声が出る。

「あ、耳、感じるんだ…かわい…」

そう言って、星くんはまた耳を責め出す。
出口に着くまでのほんの十数分。
それは永遠のようにも感じた。




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