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忘れられる、キスを
第14章 無意識
ようやくお目当てのホットドッグを買い、早足で戻ると、先輩がいるはずの辺りに三人組の背の高い男がいるのが見えた。
どうやら、古典的なナンパをされているらしい。
遠目から見ても、先輩が困り果て、少し怯えているのが分かる。
まあ、先輩をナンパしたくなる気持ちは分からないでもないが…

「あのー俺の先輩に、なんか用ですか?」

出来るだけ、にこやかに声をかける。
せっかくのデートだ。
邪魔されてたまるか。

「星くん…!」

俺の声に先輩がほっとしたような表情をみせる。
男たちは男の連れがいると分かると、チッと舌打ちを残し離れて行った。

「ありがと…」
「すいません、一人にしちゃって…」

平気だよーと先輩が笑う。

ふわっとした、無防備な笑顔。
ほら、そーいうのがダメなんだって。
俺に安心しちゃってるの?
さっきもキスされて襲われかけたのに?

「先輩はもーちょい色々気を付けた方がいいっすよ」

俺の言葉にきょとんとする。

おうおう、そんな顔しちゃって。
俺がキスで踏みとどまってるのに感謝しろよ…

買って来た巨大ホットドッグのトレイを先輩の方へ押しやる。

「冷めないうちに、どーぞ」
「ありがとう」

いい匂い、と鼻をひくつかせる先輩を見ていたら、またなんとも言えない感情がふつふつと湧いて来た。



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