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忘れられる、キスを
第15章 観覧車
そろそろ天辺につこうかというところで、突然がくんとゴンドラが揺れ、観覧車が停止した。
『只今、システムが異常を検知し、運行を停止しております。安全確認が終了するまで暫くお待ちください…』
ゴンドラ内に流れるアナウンスで、一気に不安に襲われた。
私の表情からそれを感じたのか、今まで向かい合って座っていた星くんがすっと立ち上がり、隣に座った。
私の左手に星くんの右手が重なる。
「怖い?」
「ん…大丈夫」
ほんの些細なことなのに、それだけで、空中に取り残されたような心細さがすうっと和らいだ。
「まあ、そのうち動くでしょ」
「そうだね」
「………あ」
天窓を見上げていた星くんが小さく声をあげた。
「どうしたの?」
「いや……なんていうか…」
星くんは苦笑いしながら、歯切れ悪く答える。
「ヤってんなー…と思って」
星くんの視線の先にはこちらに背を向けて座る一組のカップルがいた。
丁度角度がよかったらしく、私たちのゴンドラからその上のゴンドラの中は丸見えだった。
二人は抱き合い、お互いを貪るようにキスを繰り返していた。
顔が熱くなる。
ドラマや映画で見るきれいなものとは違う、欲望と欲望のぶつかり合う、生々しい光景だった。
『只今、システムが異常を検知し、運行を停止しております。安全確認が終了するまで暫くお待ちください…』
ゴンドラ内に流れるアナウンスで、一気に不安に襲われた。
私の表情からそれを感じたのか、今まで向かい合って座っていた星くんがすっと立ち上がり、隣に座った。
私の左手に星くんの右手が重なる。
「怖い?」
「ん…大丈夫」
ほんの些細なことなのに、それだけで、空中に取り残されたような心細さがすうっと和らいだ。
「まあ、そのうち動くでしょ」
「そうだね」
「………あ」
天窓を見上げていた星くんが小さく声をあげた。
「どうしたの?」
「いや……なんていうか…」
星くんは苦笑いしながら、歯切れ悪く答える。
「ヤってんなー…と思って」
星くんの視線の先にはこちらに背を向けて座る一組のカップルがいた。
丁度角度がよかったらしく、私たちのゴンドラからその上のゴンドラの中は丸見えだった。
二人は抱き合い、お互いを貪るようにキスを繰り返していた。
顔が熱くなる。
ドラマや映画で見るきれいなものとは違う、欲望と欲望のぶつかり合う、生々しい光景だった。