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忘れられる、キスを
第16章 決着
「あの、すいません…」
「え?」
「嘘、つきました」
そう言って頭を下げる俺に、倉田先輩が不思議そうな顔をする。
「先輩の勤めてる会社と他の会社で内定が出て、迷ってる、っていうのは、嘘です」
「じゃあ、何の用?」
嘘までついて呼び出したことには特に言及してこない。
優しい眼差しが、苦しい。
「あの…えっちゃ…深町先輩のこと」
「深町さん?」
微かに倉田先輩の瞳が揺れた。
俺は、言葉を選びながら、喋る。
「なんとも思ってないなら、もう、連絡とか、しないで下さい…」
「それは、深町さんが?」
表情は変わらない。
俺はブンブンと首を振った。
「倉田先輩を、ここに呼び出して、こんなことを言ってるのは、俺の独断です。勝手にやってることです」
「君は…深町さんと付き合ってるの?」
「いえ…」
よく考えなくても、彼氏でもなんでもないただの後輩が、同じく彼氏でもなんでもない人を呼び出してこんなことを言うなんて馬鹿げている。
きっと、倉田先輩も、馬鹿な奴に時間を取られた、って思ってる。
けれど、こうせずには、いられなかった。
「君も、深町さんが好きなんだね」
「………」
君も、という言葉が引っかかり、声が出ない。
あんた、えっちゃん先輩をフったんじゃないの?
気まずい沈黙が俺たちの間を流れていった。
「え?」
「嘘、つきました」
そう言って頭を下げる俺に、倉田先輩が不思議そうな顔をする。
「先輩の勤めてる会社と他の会社で内定が出て、迷ってる、っていうのは、嘘です」
「じゃあ、何の用?」
嘘までついて呼び出したことには特に言及してこない。
優しい眼差しが、苦しい。
「あの…えっちゃ…深町先輩のこと」
「深町さん?」
微かに倉田先輩の瞳が揺れた。
俺は、言葉を選びながら、喋る。
「なんとも思ってないなら、もう、連絡とか、しないで下さい…」
「それは、深町さんが?」
表情は変わらない。
俺はブンブンと首を振った。
「倉田先輩を、ここに呼び出して、こんなことを言ってるのは、俺の独断です。勝手にやってることです」
「君は…深町さんと付き合ってるの?」
「いえ…」
よく考えなくても、彼氏でもなんでもないただの後輩が、同じく彼氏でもなんでもない人を呼び出してこんなことを言うなんて馬鹿げている。
きっと、倉田先輩も、馬鹿な奴に時間を取られた、って思ってる。
けれど、こうせずには、いられなかった。
「君も、深町さんが好きなんだね」
「………」
君も、という言葉が引っかかり、声が出ない。
あんた、えっちゃん先輩をフったんじゃないの?
気まずい沈黙が俺たちの間を流れていった。