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忘れられる、キスを
第17章 告白
「俺とのこと、考えてくれました?」
「と、いいますと…?」

ピザを頬張っていたら、少し真剣な顔をして言われ、たじろいでしまう。

「俺と、付き合うって話」

バレンタインの翌日、星くんと朝ごはんを食べながらそんな話をしたことを思い出した。
星くんの目は真っ直ぐこちらをみている。
からかいや、冗談、ではない。

「あ…えっと…」
「もう、倉田先輩はいいでしょ。それとも、俺のこと嫌い?」
「嫌いじゃ…ない…」

嫌いじゃないけど…むしろ、好きだけど……その「好き」が、倉田先輩を想うような「好き」なのか…分からない。
それに…

「く、倉田先輩がだめだったから、星くん、と…なんてズルくない…?」
「全然。ズルくない。そんなもんでしょ」

星くんは当たり前のようにいうけれど、そんなもん、って、誰とも付き合ったことのない私には、付き合うきっかけがどんなものなのか検討もつかない。

「……まだ、倉田先輩、忘れてないの?」

星くんは私の心の一番柔らかい所をついてくる。
もうすっかり、きっぱり、フられてる。
これからも、先輩と後輩。
けど、先輩にフられて、すぐに星くんと付き合ったら、先輩、私のことどう思う…?
軽い女だな、なんて、思うかな。
そんなどうしようもない思いがぐるぐると頭の中を巡っていた。


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