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忘れられる、キスを
第17章 告白
「ちゃんと、サヨナラ言わなかったからもやもやしてるんだよ」
「え?」
「どうせ、倉田先輩に、好きですって言って、断られたあと、逃げちゃったんでしょ」

確かに、あの夜、私は倉田先輩から逃げた。
なんで、分かっちゃうんだろう…

「倉田先輩と、ちゃんと話して、サヨナラしてよ」
「も、もう、フられたし、星くんにはか、関係ない…」
「あるね」

むすっとした顔でボソリと呟いた。

「お互いにその辺ちゃんとしてくれないと、俺、困るし、勝てない…」

星くんが言っていることが分からない。
困る?
勝てない?
星くんは一体なにと戦っているの?

「いつまでも、そこにいちゃ、ダメなんだ、先輩。一歩、踏みだせば、全然違った景色も見える。きっと、先輩の全然知らないコトだって…」

独り言のように俯き加減で話す。
けれど、すぐにぱっと顔をあげた。

「明日、先輩、暇?」
「う、うん…」
「じゃあ、そこの駅前の喫茶店で待ち合わせね。十時」

星くんはそれだけ言って、手元の携帯になにやら打ち込んだ。
それで、この話はおしまいになり、それから帰るまで、十一月頃に行われる文化祭やサークルの演奏会の話になってしまった。


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