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忘れられる、キスを
第17章 告白
翌日、指定された時間に指定された喫茶店へと入る。
この辺りはオフィス街なので、土曜の午前中の今、店内にはあまり人がいなかった。
窓際の席に座った星くんがこちらを向く。

「星く…」

声をかけようとして、隣に座る人の背中に目が釘付けになる。
その人はゆっくりとこちらを振り向いた。

「おはよう、深町さん」
「倉田…先輩…?」

突然、倉田先輩が現れ、私の心臓が早鐘を打つ。
星くんは倉田先輩と入れ違いで入学したのだから面識はないはずなのに…
どうしよう…今すぐ逃げ出したい…

その場に立ち竦んでしまった私の手を星くんが引っ張る。

「ごめんね、おれが、彼に頼んだんだ。深町さんと話がしたいって」
「あの…私…」

なんて言えばいいのか分からない。
どういう状況なの、これ…

「俺、どこかでテキトーに時間潰すので、終わったら連絡して下さい」

星くんはそう言うとさっさと店をでていってしまった。
倉田先輩は私に座るよう促し、近くにいたウェイターに声をかけ、ロイヤルミルクティーを頼んだ。

「突然、悪かったね」
「いえ…」
「……少し、痩せた?」

心配そうに私のを覗き込む。

せっかく、忘れようとおもっていたのに。
こんなの、ただ、苦しいだけ。

膝に置いた拳をぎゅうっと握りしめた。


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