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忘れられる、キスを
第18章 期間限定
「じゃあさ、お試し、ってことで」
「お試し…?」
「通販とかでもあるでしょ。実際使ってみて本当に買うかどうか決められる、ってサービス」

先輩はいまいち状況が飲み込めていないようだ。

「俺とも、お試しで付き合って。期間限定。んー…ちょっと先だけど、バレンタインまで」
「え…と…」
「付き合ったら、好きになるかもだし。…もし、バレンタインまでに好きになれなかったら…」

その時は、俺も、えっちゃん先輩にサヨナラ、言わなきゃ。

「てか、もう、先輩の答え待てない。期間限定で、付き合うのは決定ね」
「え、ま、待って…」
「待てない。…こういうことは、先輩、優柔不断だから」

ちょっと強引だけど、そのくらいじゃないと、えっちゃん先輩はこっちを向いてくれない。
俺のこと、倉田先輩と同じように、好きか、なんて、考えて、戸惑ってるんだ、きっと。

そんなこと、考えるまでもなく、俺のことを好きっていって欲しい。
俺のことだけ、見て欲しい。

ああ、俺、いつからこんな独占欲強くなったんだ?

自分でも驚くくらい、先輩への気持ちが膨れ上がっていた。

「じゃ、そういうことだから、これから、よろしくね、先輩」
「う……よ、よろしく…?」

こうして、俺が押し切る形で先輩と付き合うこととなった。



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