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忘れられる、キスを
第19章 甘え
「…したこと、ないんだよね」

遠慮がちに聞いてくる。
顔が熱くなるのを感じた。

「ゆっくり…なるべくゆっくり…するから…」

星くんが私の頭を撫でる。
右手首をきゅっと掴んだ。

「本当に嫌な時は、教えて。絶対、絶対にそこでやめるから」
「ん…」

小さく頷くと、よし、と星くんが笑った。
そしてまた、額に、キス。
頬に、耳に、唇に、顎に、順番に口付けていく。
そして、徐々に下へ、星くんの唇が滑る。

「ひゃ…あ…」

首筋を舐められ、思わず声が出てしまう。
星くんが嬉しそうに、ふふっと笑う。

「声、我慢しないで。いっぱい聞きたい」

首筋にキスをしながら、手を伸ばし、部屋の電気から下がる紐を引く。
カチリ、カチリと音がして、部屋は薄暗くなった。
抱き上げられ、ベッドに寝かされる。

こうなることを、どこかで期待していたのかもしれない。
どうしようもない淋しさが人肌を求めてしまうのか。
身体が震えるほど、恥ずかしくて、怖くて、それでも、まだ強く拒否できない。

星くんの優しさが、口付けを通して私を満たしていく。

期間限定、なんて曖昧な態度を取るズルい女なのに。
なんで、そんなに優しくするの。

言葉の代わりに、ぽろりと涙が零れた。



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