この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
忘れられる、キスを
第21章 ためらい
何とか七時前に仕事を切り上げ、会社を出ることができた。
梅雨明けの気配はなく、冷たい雨がしとしとと降り続いていた。
一応、星くんに連絡をしようと立ち止まったところで、肩を叩かれた。

「深町、今帰りか?」
「さ、佐野さん…」

思わず後ずさる。
やっぱり、この人、少し苦手…
けれど、仕事をする上での上司なのだ。
何をしたわけでもない。
少々スキンシップが多いのだ。
早坂さんも肩を叩いたり、頭を撫でたりするではないか。
そう、自分に言い聞かせ、奮い立たせる。

「ちょっと一杯飲みに行かないか?最近、忙しかったし。深町には色々助けられてるからな」
「きょ、今日は…か、帰らないといけなくて…」

ぎゅっと手の中の携帯を握りしめる。

「なんだー?彼氏とデートか?」

画面を覗き込まれそうになってまた、一歩、後ずさる。

どうしよう。
言葉が出てこない。

「仕方ない奴だな。まあ、いい。次にしよう」

そう言うと、佐野さんは、気を付けて帰れよ、と手を振った。
ぺこり、とお辞儀だけして、足早に会社を離れる。

ああ、びっくりした…

鼓動が早まっていることに、駅に着いてから気づいた。

これまでこんなことなかったのに…

不穏な気配を振り払うように、かぶりをふった。


/507ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ