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忘れられる、キスを
第22章 高揚
この日はやけに忙しかった。
ランチタイムはもちろんだったが、バーとしても営業するディナータイムも早い時間から客が絶えなかった。
『スターライト』は店長の個人経営だ。
手狭な店だが、調理はほとんど店長がやるので、必然的にフロアでの客対応の全ては俺の担当となる。
店員は店長の他にバーテンダーの伊東さんとアルバイトが二人いるが、今日に限って俺以外のアルバイトは休みで、結局、第一陣の客が帰り始める八時前頃までは、バタバタとした時間が続いた。
「リュウ、少し休憩して、そしたら皿洗ってくれ」
ゴリゴリとコーヒー豆を挽きながら店長が言った。
調理場を抜け、バックヤードに行く途中で、山積みになった汚れた食器が目の端に映り、思わずため息が出る。
バックヤードのパイプ椅子に腰掛け、メールをチェックしたが、先輩からの連絡もない。
俺は仕方なく、立ち上がって、調理場へ戻った。
「今日は来れないのかな…」
ため息のように独り言が零れる。
「例の、彼女?」
いきなり後ろから声をかけられ、危うく皿を落としそうになる。
「い、伊東さん…びっくりさせないでくださいよ…」
「ああ、ごめん。店長から、リュウが彼女連れてくるってきいたから気になって」
伊東さんは悪びれもせず、パントリーのすみから酒瓶を取り出すと、またフロアへ戻っていった。
ランチタイムはもちろんだったが、バーとしても営業するディナータイムも早い時間から客が絶えなかった。
『スターライト』は店長の個人経営だ。
手狭な店だが、調理はほとんど店長がやるので、必然的にフロアでの客対応の全ては俺の担当となる。
店員は店長の他にバーテンダーの伊東さんとアルバイトが二人いるが、今日に限って俺以外のアルバイトは休みで、結局、第一陣の客が帰り始める八時前頃までは、バタバタとした時間が続いた。
「リュウ、少し休憩して、そしたら皿洗ってくれ」
ゴリゴリとコーヒー豆を挽きながら店長が言った。
調理場を抜け、バックヤードに行く途中で、山積みになった汚れた食器が目の端に映り、思わずため息が出る。
バックヤードのパイプ椅子に腰掛け、メールをチェックしたが、先輩からの連絡もない。
俺は仕方なく、立ち上がって、調理場へ戻った。
「今日は来れないのかな…」
ため息のように独り言が零れる。
「例の、彼女?」
いきなり後ろから声をかけられ、危うく皿を落としそうになる。
「い、伊東さん…びっくりさせないでくださいよ…」
「ああ、ごめん。店長から、リュウが彼女連れてくるってきいたから気になって」
伊東さんは悪びれもせず、パントリーのすみから酒瓶を取り出すと、またフロアへ戻っていった。