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忘れられる、キスを
第23章 スターライト
「ボウズは相変わらず上手いな」
先ほど入ってきたサラリーマン風の男性の一人が、影山さんに声をかける。
「今日は特別ですよ、なんてったって…」
影山さんが意味深に小指を立てる。
もう一人のサラリーマン風の男性ひゅう、と口笛を吹いた。
色気付いちゃってまあ、と笑いながらビールグラスに口を付ける。
星くんは楽譜を置きかえ、二曲目を弾き始めていた。
「はい、どうぞ」
食べ終えたオムライスの皿が下げられ、ほんのり赤い液体の入ったグラスが置かれる。
「ベリーニ、っていうの。スパークリングワインと桃のピュレのカクテル」
俺の奢り、と伊東さんがニヤッとする。
お礼を言って、一口飲むと、ほんのりとした桃の甘さと炭酸の清涼感が絶妙でとても飲みやすい。
「俺、あんまり音楽のことって分からないけど、今日のリュウは、やっぱり何かいつもと違う気がする」
小声で伊東さんが話す。
「カッコつけたいんだろ、絵津子ちゃんの前で。最近、店のピアノでやけに練習してると思ったらこれか…」
そう言って、影山さんが、ガキだね、と笑う。
サラリーマンの二人組がこちらをみて、もしかして、と小指を立てた。
恥ずかしくて、曖昧に笑う。
「あいつも就職しちまいますからね、そろそろ聴き納めですよ」
少し淋しげな表情で影山さんが言った。
先ほど入ってきたサラリーマン風の男性の一人が、影山さんに声をかける。
「今日は特別ですよ、なんてったって…」
影山さんが意味深に小指を立てる。
もう一人のサラリーマン風の男性ひゅう、と口笛を吹いた。
色気付いちゃってまあ、と笑いながらビールグラスに口を付ける。
星くんは楽譜を置きかえ、二曲目を弾き始めていた。
「はい、どうぞ」
食べ終えたオムライスの皿が下げられ、ほんのり赤い液体の入ったグラスが置かれる。
「ベリーニ、っていうの。スパークリングワインと桃のピュレのカクテル」
俺の奢り、と伊東さんがニヤッとする。
お礼を言って、一口飲むと、ほんのりとした桃の甘さと炭酸の清涼感が絶妙でとても飲みやすい。
「俺、あんまり音楽のことって分からないけど、今日のリュウは、やっぱり何かいつもと違う気がする」
小声で伊東さんが話す。
「カッコつけたいんだろ、絵津子ちゃんの前で。最近、店のピアノでやけに練習してると思ったらこれか…」
そう言って、影山さんが、ガキだね、と笑う。
サラリーマンの二人組がこちらをみて、もしかして、と小指を立てた。
恥ずかしくて、曖昧に笑う。
「あいつも就職しちまいますからね、そろそろ聴き納めですよ」
少し淋しげな表情で影山さんが言った。