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忘れられる、キスを
第3章 強がり
素肌の上に星くんのパジャマの上着を被り、これまた素肌の上に真新しいトランクスを履いて、星くんの待つ部屋へと戻る。

「あ、それもやばい…」

星くんが小さく呟いた。
どういう意味よ。
色々気遣ってくれたことも忘れ、ジトッと睨んでしまう。

「風邪ひくから、これ着てて。ドライヤー使ってていいから。俺も風呂入ってくる」

早口で言って、私にパーカーとドライヤーを押し付けるとそそくさとお風呂場へ向かっていった。

湯冷めしても困るので、貸してくれたパーカーを羽織り、ドライヤーもありがたく使わせてもらう。
それほど髪の長くない私は、10分ほどで、乾かし切ってしまう。

髪を乾かし終わると、何もやることがなくなってしまった。
ふと、携帯に目をやると、新着メールを示すランプがついていた。

もしかして、と思い、震える手で開く。

『ごめん、仕事忙しくて。また今度』

素っ気ないメール。

また今度、って、それいつですか。

聞けない。そんなこと言えない。

『いえ、大丈夫です。お仕事頑張ってください』

震える指でそれだけ打って、送信する。

今度。きっと、もう。忙しくて私に構う余裕なんてないんだろうな。

だから、やめよう。
こんな不毛な恋は、もうやめよう。

そう思うと、また涙が出そうだった。
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