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忘れられる、キスを
第28章 警戒
「リュウさんの彼女さん、俺も会いたかったです」

洋祐は俺より二歳下の大学二年生だ。
教職課程を取っているらしく、なかなか平日はシフトに入れない。

「絵津子ちゃん、って言うんだ。小柄で可愛らしい感じ。リュウの先輩なんだって」
「へええ、年上っすか。やりますね」

俺も年上お姉さんとイチャつきたいなーと洋祐がだらしない顔で言う。

「アホなこと言ってないで、着替えろよ…あと、伊東さんはそれ返して下さい」

はいはい、と差し出した俺の手に携帯を返してくれる。
画面を見ると新着メッセージは無いようだった。
先程のメールは俺が打ったものではない旨を送信する。

「写真とか無いんですか?」

洋祐は子犬のように目をきらきらさせている。

「俺、持ってるよ」
「え?!」

伊東さんがすっと携帯の画面を俺たちの方へ向ける。

「え、か、可愛いっすねえ…年上…え、三つも?てことは…俺の五個上?!」
「な、なんで…盗撮?!」

俺と洋祐の声が被る。

「この間来た時、彼女の横顔がすごい可愛かったから、つい」
「は、犯罪者…!」

そんなところで撮られていたとは、油断も隙も無い。
けれども、そこに写っている先輩は、とても幸せそうで、可愛らしかった。
結局、俺は、その写真を送って下さいと伊東さんに頭を下げたのだった。
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