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忘れられる、キスを
第29章 嫌悪
どうしたの、という問いにも答えられず、私はただ俯くばかりだった。
佐野さんのことを話しても、星くんに余計に心配させるだけだ。
職場のことまで、甘えられない。

嫌なことは、寝て忘れよう。

暗がりの中で、星くんにおやすみを言う。
おやすみ、と星くんが言って、そっとキスをしてくれた。
触れるだけの、キス。
それだけで、先ほどまでの恐怖も、嫌悪もすうっとなくなっていくようだった。
ゆらゆらと、眠りの中に落ちていく。


『今は、俺の部下でもあるんだ。いいな?』

嫌な声が、脳内にこだまする。
佐野さんの腕が私を掴んだ。
太い粗忽な指が腰を滑り、下へと伸びる。

やめて。

思いっきり叫んでいる筈なのに、声が出ない。
蠢く指先が私を蹂躙し始める。

やめて。
やめて。
やめて。

その三文字は、喉の奥に張り付いてしまったのかもしれない。
私は金魚のようにぱくぱくと口を動かすだけ。

乾ききった唇を太い指先がなぞる。


「やめて!!!」

自分でも驚くような声が出て、辺りが突然明るくなった。
温かなものが身体を包む。

「先輩、大丈夫?」

気付くと、星くんが心配そうに顔を覗き込んでいた。
背中に添えられた手が温かく、心地よい。

恐怖と安堵で、ぼろぼろと涙がこぼれてしまった。
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