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忘れられる、キスを
第31章 傷痕
佐野さんは私の秘部に指を這わせた。

「っあ…い、や…っ」
「全然濡れてねえな。不感症か?それとも…その歳で処女とかいうなよ?」

佐野さんは再び私の口に指を突っ込んだ。
その指を思いっきり噛む。

「いっだあっ…!なにすんだ…!」

指が引き抜かれ、横っ面を引っ叩かれる。
その衝撃で、私は、派手な音を立てて、スチール棚にぶつかった。

「舐めてんじゃねえぞ…ここは、普段誰も使わない倉庫だからな…?この部屋と事務所の距離じゃあ声を上げても聞こえねえよ?」

佐野さんが床に崩れ落ちた私に馬乗りになった。
ぐっと口を塞がれる。
あっと思った瞬間、下腹部にひりつくような痛みが走った。

「やっぱり処女か?せっまいなあ」

佐野さんの指が私の中へと押し入ってくる。
痛くて、怖くて、苦しくて、どうしようもなく涙が零れた。

やめて。
触らないで。

声が喉に張り付いたまま、出てこない。
カチャカチャと金属音がする。

誰か。
誰か、来て。

硬く、熱い何かが腿の辺りに擦り付けられた。
絶望が私を飲み込む。

星くんなら。
こんな酷いことしないのに。

ね、星くん。

お願い、助けて。

息が苦しい。

「そこで何してる!?」

鍵の開く音がして、誰かがやってくる。

ああ、助けがきた。

すうっと意識が遠退いていくのが分かった。
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