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忘れられる、キスを
第31章 傷痕
「こないでっ」

自分の叫び声で目が覚めた。

ここは…?

ズキリ、と額が痛む。
白いシーツに糊のきいた掛け布団。
薄青のカーテンで周りをぐるりと囲われ、ここが病院だと気付いた。

「せ、先輩…!大丈夫?!」
「深町、どうした…!」

血相を変えた二人の男性が飛び込んでくる。

あ。
嫌。

ぶわっと鳥肌がたつ。

何で、こっちに来るの?
こないで。
私に触らないで。

伸ばされた手を振り払う。
恐怖で後ずさった。
かくんとベッドから手が落ち、そのまま後ろに倒れ込みそうになる。

「先輩…!」

間一髪で、後ろから抱きとめられた。
悪夢のような感触が蘇り、全身が強張る。

いやだ。
いやだ。
いやだ。

ガタガタと身体が恐怖で震えて、止まらない。
私を抱きとめる腕から逃れようと、必死で抵抗する。
パシッと乾いた音がした。

「先輩!えっちゃん先輩!!落ち着いて…!」

ぎゅうっと抱きしめられる。
押し付けられた左胸の辺りから、ふわりと石鹸の香り。

とくん、とくん、と規則正しい鼓動が聞こえる。

すって、吐いて。

その声に合わせて、息をすって、吐く。

この声、知ってる。
この声は…

いつの間にか震えがおさまっていた。
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